会社を増やすと、管理が甘くなって目が行き届かなくなるという欠点があります。そうなれば、例えば不正(横領、着服)が起きやすくなります。また、会社が増えれば、その分の事務負担も多くなります。

 こうしたデメリットも理解したうえで、グループ会社の設立を検討してください。

グループ会社の王道は
不動産会社、仕入会社、製造会社

 グループ会社をつくるときの着眼点は、「分ける」という発想です。(1)資産を分ける(2)機能で分ける(3)エリアで分けることを考えましょう。

(1)資産を分けるなら、資産管理会社をつくります。代表例は、不動産の管理会社です。オフバランスで、不動産管理会社をつくれます。

(2)機能で分ける場合の代表例は、仕入会社や製造会社、販売会社です。いまは外注している業務(清掃、保守など)を新会社にやらせてもよいでしょう。あるいは、企画開発を行う会社、リース会社(自動車、備品、美術品)も考えられます。

(3)エリアで分ける場合は、東日本と西日本、日本とアジアなど活動地域に着目します。

 新会社をつくると、なんらかの形で、現在の会社(本体と呼びます)と取引が発生します。賃貸借、仕入、外注などで取引が生まれます。当然ながら、お金の支払い、受け取りも伴います。

 このときの取引価格が1つのポイントになるのです。

 会社間の取引には株式のような市場はありません。価格設定は柔軟にできるのです。だから、家賃、仕入価格、作業単価を調整し、本体の利益を別会社に残すようにします。

 ただし、好き勝手やっていいかというと、それは程度の問題です。本体が第三者と取引するときの価格を1つの目安と考え、その価格の倍または半値など、あまりにかけ離れた極端な価格は税務上も認められません。