長寿のカギ「テロメア」にも好影響があった

 定期的な瞑想がもたらす生理学的作用に重要な効果が実際にあることが、ほかの画期的研究によって示されている。

 精神神経内分泌学の専門誌『サイコニューロエンドクリノロジー』で2011年に報告されたところによると、カリフォルニア大学デイビス校の研究チームが、60人を対象に3か月間の集中的な瞑想プログラムを行った。これを「シャマサ・プロジェクト」と名づけ、ほかの科学者にも参加を呼びかけて、瞑想をする人の反応を多面的に調べた

 参加した研究者のひとり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の心理学者エリッサ・エペルは、エリザベス・ブラックバーン教授と共同研究を行っていた。ブラックバーンはテロメアに関する先駆的研究により、キャロル・グライダーとジャック・ショスタクとともに2009年のノーベル生理学・医学賞を受賞した人物である。

 テロメアとは、靴紐の先端についているプラスチックのパイプのように、染色体の末端を保護するキャップのようなものだ。細胞分裂のたびに少しずつ短くなり、一定の長さ以下になると分裂を停止して「細胞老化」という状態になる。

 テロメア短縮とテロメラーゼ活性低下は、心臓疾患、糖尿病、肥満、変性疾患、そして寿命の短期化といった重篤な疾患や症状のリスク上昇と関連している。

 研究者の報告した成果は驚くべきものだった。瞑想をする人はテロメラーゼ活性が「有意に高かった」 のだ。「自己統制感の高まりとネガティブな感情の減少が、テロメアの長さと免疫細胞の寿命に影響をおよぼすテロメラーゼ活性の上昇に寄与したことを、データは示している」と結論づけられた。

 2004年、エペル博士とブラックバーン博士はほかの研究者とともに、ストレスがテロメアの活動と長さに与える影響を実証する研究を行った。この研究の対象は59人の母親で、うち約半数が病気の子どもを介護する母親、残りが健康な子どもをもつ母親だった。

 長期のストレスがテロメアの長さに影響するという仮説は正しかった。

「介護群では、介護年数が長いほどテロメアは短く、テロメラーゼ活性が低かった」。そして「とくに強いストレスを感じていた女性たちは、ストレスがとくに少なかった女性たちに比べて、テロメアの長さが年数にして平均10年分も短かった」と結論づけられた。

 テロメアの短さは、加齢に伴うさまざまな病気とのあいだに関連性が認められている。したがって、ストレスを減らすことが、健康を大きく増進させるのは明らかだ。