現時点で、JR東海はリニアと東海道新幹線という2本のバイパスが通った後に、既存の東海道新幹線の輸送量が減るという前提を置いてはいるが、極めて野心的な需要予測だ。

 JR東海は、「三大都市圏が1時間で行き来できるようになると人口7000万人の世界最大の都市圏が誕生する。リニアの開業によって、再度、東海道新幹線の開業時に匹敵する大きな経済効果が生み出される可能性がある」と説明している。

 また、上記の調査ではリニアのランニングコストも試算している。維持運営費3080億円と設備更新費1210億円を足した4290億円が1年当たりに掛かるコストだ。東海道新幹線で年間5000億円のキャッシュフローを生むさしものJR東海でも、この高コストな乗り物で投資を回収することなどできるのだろうか。

 総工費9兆円の採算性も含めて、現在、リニア建設には「四つの懸念事項」が浮上している(下図参照)。環境破壊、ゼネコン談合の余波、手荷物検査の実施リスク──。そのどれもが、経営へのインパクトが大きい重要事項だ。

「必要ない」が3割
現状満足派が多い

 JR東海の大ばくちに利用者はどう感じているのか。アンケートでは賛否が割れた。半数が「必要だと思う」と支持の回答だった。

 その理由として、「東海道新幹線よりも速いから」「南海トラフ沖地震時に代替となるから」が回答の上位を占めた。鉄道敷設は車両製造から土木工事など総合的な知見が求められることから、「日本が誇る最新技術だから」とテクノロジーへの期待の高さもうかがえた。

 また、「必要ないと思う」も3割を占めた。その理由は、「新幹線があれば十分」「新幹線や飛行機よりも速い移動手段は要らない」という現状満足派が多かった。

 一方で、建設費用に財投を使うことや環境破壊、ゼネコン談合問題を反対の理由に挙げた回答も上位にきており、「リニア建設がきなくさい」という印象を持っている人も少なくないようだ。

リニア中央新幹線についてのアンケート
質問時には下記を表記しました。
【 所要時間は東京~名古屋は最速67分となる予定です。JR東海の需要予測によれば、運賃は東京~大阪は「のぞみ」プラス1000円と資産されています】
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