外貨流出を阻止する規制強化で
中国人の爆買いが沈静化
観光ビザの取得手続きの緩和により、約10年前から大勢の中国人が日本を訪れるようになった。やがて、高いと思われていた日本の不動産価格が、中国のそれよりも手頃だと気づいたことで、不動産を物色する人も増えた。
日本に留学する子どもを住まわせるという必要に迫られたケースもあるが、メインは投資目的だ。筆者の周りには、北京のマンション1つを手放しただけで、東京のマンションを3つ買っている中国人もいる。
そうこうしているうちに、個人だけでなく、中国の企業も日本の不動産に興味を持つようになり、一時、日本では、「中国マネーが日本の国土を買い尽くしてしまう」といった論調が広がった。こうした見方は、指摘するまでもなく荒唐無稽なものであることは自明だが、ただ、度を過ぎた一面は確かにあった。
こうして、中国の外貨がどんどん日本を始めとする海外へ流れていった。2015年の流出額は、前年比7倍以上という過去最高の1兆ドル(約121兆円)に達した。2016年もその傾向は衰えなかった。為替などの影響もあるが、2016年11月末時点で中国の外貨準備高は3兆516億ドル(348兆円)となり、ピーク時(2014年)の4兆ドルより1兆ドル近くも減ってしまった。