上場企業も利用する人気の秘密は
物件も見ずに安心して買えること

 現在、30社ぐらいの不動産販売・仲介会社がNeoXと契約、「神居秒算」アプリを通して言葉が通じない中国人顧客に日本の不動産を販売している。アプリ利用者はきっと規模の小さな会社だろうと思っていたのだが、リストをチェックしてみたら三光ソフランホールディングスやフジホームなど、業界では知られている会社も結構あった。中には、グローバル・リンクのような上場会社も利用していることが分かった。

 こうなると、これからもっと多くの会社が「神居秒算」を利用するのではないかと何書勉社長にインタビューをしたら、意外な回答が返ってきた。

「もちろん、お客さんがどんどん増えていってほしいと思っているが、かといって、全て受け入れているわけではありません。申し込みがあった会社を全て訪問し、社長と会ってみます。そこで、不動産の所有状況や顧客の満足度など、弊社の基準を全てクリアできた企業でなければ受け入れません。したがって実際にアプリを利用していただけるお客さんは10社に1社ぐらいです」

「厳しすぎるのでは」と尋ねると、「“売ってやるタイプ”の会社は排除します。その代わり、一生懸命仕事をしようという会社に対しては、ビックデータなどを駆使して全力で支援します。私たちの顧客になって3ヵ月以内に、絶対成約できると保証したいぐらいです」

 不動産の成約率は「千三(せんみつ)」といわれ、1000件の物件情報に対して成約件数が3件、つまり成約率は0.3%でしかない。それに対して、「神居秒算」の成約率は約10%と、驚異的な数字をたたき出している。そうした実績があるから、何社長は強気なのだ。

 楽天で唯一の外国人役員だった何社長は、次のようにも語っている。

「楽天で学んだネットビジネスの知識を、私は不動産販売会社に伝えています。NeoXは中国人の私たちが作った会社で、人脈も知名度もありません。しかし、不動産業界において、技術面で私たちの右に出る会社はありません。中国人の顧客が、日本の物件を見ずに海の向こうから買ってくれる最大の理由は、私たちのアプリを通して物件の品質から価格に至るまで、心配事を全て解消できるからです」

 2017年に6人でスタートさせた会社が、いまや中国の上海にも拠点を持つ30人の会社になり、売り上げも第1期の2億円から今の20億円へ伸びた。スタートアップ企業の成長性には、やはり目を見張るべきところがある。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)