世界標準の教養として、特に欧米で重要視されているのが「ワイン」である。ビジネスや政治において、ワインは単なる飲み物以上の存在となっているのだ。そこで本連載では、『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』の著者であり、NYクリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとしても活躍した渡辺順子氏に、「教養としてのワイン」の知識を教えてもらう。今回は、最低限押さえておきたいワインに使われる「ぶどう品種」について紹介してもらった。
「赤」で覚えておきたい品種
ワインに使われるぶどうの品種は多数ありますが、まずはよく使われるメジャーな品種を押さえておくことが大切です。赤ワインで使われる品種では、以下のものを押さえておくといいでしょう。
■カベルネソーヴィニヨン
世界で最も生産量が多く、ほぼすべてのワイン産地で栽培されているカベルネソーヴィニヨンは、まっさきに覚えておきたい赤ワインの定番品種です。タンニンを豊富に含み、若いときはアルコール度数が高く、濃厚でしっかりした味わいが特徴で、さまざまなワインに幅広く使われています。一方で、フランスのボルドーやイタリアのトスカーナ、カリフォルニアのナパなどでは、超高級ワインに使われることでも有名です。
■ピノノワール
フランス・ブルゴーニュ地方原産のピノノワールは、栽培が難しく、繊細なぶどう品種です。一方で、世界一のワイン「ロマネ・コンティ」にも使われる、ポテンシャルの高い品種でもあります。ピノノワールを使う場合、基本的には他品種とのブレンドはせず、単一で醸造されます。そのため、ヴィンテージによってワインの味が変わることでも有名です。
■メルロー
栽培面積が世界2位のメルローは、気候に対する柔軟性があり、産地を選ばない品種です。その栽培のしやすさから世界中のワイン醸造家に支持され、フランスのボルドーをはじめ、アメリカ、イタリア、チリ、アルゼンチン、オーストラリアと、ほぼ全域にわたりメルローが栽培されています。特にカベルネソーヴィニヨンとの相性がよく、ブレンドによって調和のとれた最高級ワインを生み出すことでも有名です。最も高価なメルローワインを産出するのはフランスのボルドーで、特にサンテミリオンやポムロールでは、メルロー主体の世界最高峰ワインが生まれています。その代表格が高級ワインである「ペトリュス」や「ルパン」です。