20年以上増収増益を続けているサンドラッグや、割安株のワキタのチャートからわかる株の真実とは? 『株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書』の著者による連載第5回目は、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の融合についてお話します。
テクニカル分析はいらない?
専門家の中には「テクニカル分析は不要だ」と個人投資家にアドバイスされる方も少なくありません。ファンダメンタル分析をしっかりと行えば、テクニカル分析は不要だというのです。はたして本当でしょうか。
答えは半分正解、半分不正解です。
たしかにプロの投資家には、テクニカル分析を使わずファンダメンタル分析のみで、銘柄選びや売り時・買い時の見極めをしている人たちが大勢います。でも個人投資家でそれを目指そうとするのは至難の業です。
精度の高いファンダメンタル分析を行うには、銘柄それぞれにつき、決算書の分析のみならず以下のような点を検討していかなければなりません。
・経営者の資質および経営理念・経営方針
(突然の不祥事や法令違反、経営者の暴走などのリスクをチェック)
・将来の成長性
(会社予想を鵜呑みにするのではなく自ら検討する)
・その企業の強み
(他社には真似できない独自の技術力、製品開発力、優秀な人材はあるか?)
・価格競争力
(高価格でも売れるような付加価値を有する商品を提供できているか?)
・参入障壁
(他社が容易に参入できる場合、競争激化により収益力低下の怖れあり)
・上記を加味した妥当株価と現在の株価の比較
(自身で妥当株価を計算し、株価が十分割安であれば投資対象とする)
こうしたことを調べるには、会社のホームページをくまなく見たり、会社説明会に参加したり、会社に質問したり、店舗があればそれを見て回ったりしなければなりません。業界全体についての勉強も必要です。
筆者の周りには、このような精度の高いファンダメンタル分析を行っている個人投資家の方もいますが、知識・能力の面からも、銘柄選びにさける時間の面からも、筆者はその方に到底かないません。
ファンダメンタル分析の精度を高めるには、ここまでしなければならないのです。