あなたは、今まさに接客サービスの世界に足を踏み入れた人でしょうか? それとも、接客サービスの仕事をはじめたけれど、少し行き詰まりを感じているところでしょうか? または、あなた自身はオーナーか店長でスタッフの指導育成に悩んでいるのでしょうか……。そんな方には、本連載がきっとお役に立ちます。11月7日に『これだけできれば大丈夫!すぐ使える!接客1年生』(ダイヤモンド社)を上梓した著者の七條千恵美さんは、元JALのカリスマ教官。七條さんいわく、接客の本質とは「あなたを大切に想っています」「感謝しています」「歓迎しています」「敬意を持っています」という想いを感じていただくこと。お客さまの「イラッ」「モヤッ」をなくすこと。それが、接客の基本中のキホン。お客さまに信頼され、リピーターが増える接客のキホンをやさしく解説する連載です。

お客さまの「すみません」という謝罪をスルーしていませんか?

感謝の気持ちを言葉と笑顔にのせて
お客さまに伝える

 接客という仕事をしていると、実に様々なお客さまとの出会いがあります。自分が得意とするお客さまばかりを担当するとはかぎりません。ときには気難しいお客さまや、理不尽な要求をなさるお客さまもいらっしゃいました。

 そのような中で、マナーやルールを守ってご利用いただけるお客さまや、接客側からの協力依頼に快く応じてくださるお客さまは、本当にありがたい存在です。

 さらには、「ありがとう」と言ってくださる方や、目下にあたる接客スタッフに対しても心遣いを見せてくださるお客さまには、どれほど励まされ、勇気づけられたかわかりません。

 ここで、お客さまが見せてくださる心遣いにフォーカスしてみたいと思います。

 あなたがお客さまになったとき、このような経験をしたことはないでしょうか?

 レジで会計をする際に「小銭が不足しています」という貼り紙に気づきました。なるべく釣り銭の出ないようにと思ってはみたものの財布には一万円札しかなく、

 「すみません、一万円しかなくて……」

 などと言いながらスタッフに一万円札を差し出したこと。

 または、近い距離だけれどもタクシーを利用したいとき、運転手さんに、

 「〇〇までお願いします。近くてすみません……」

 と申し訳ない気持ちで行き先を伝えたことなどなど。

 このような言葉が出るときは、「協力できなくてごめんなさいね」「期待はずれだったら申し訳ないです」という相手への心遣いがあるときです。