スタートアップ経営陣は、招聘時に何を意識すべきか

朝倉:もし外資系金融の出身者をスタートアップに勧誘しよう、入ってもらおうとしたら、どういう点に気をつければいいと思いますか?

小林:外資系金融って言っても部署がいろいろあって、どういう役割の人が合うかっていうのは、会社の状況だったりフェーズだったりでそれぞれ差があると思うんです。なので、単にブランド名で人を雇うのではなくて、どういう役割の人を求めているのかをきちんと認識した方がいいなと思いました。

村上:外資系金融出身者が会社に対して目利きしてくることを考えると、「俺はこんな凄いビジョンを持った会社なんだ」といったコミュニケーションだけじゃなくて、逆に「守りに対して意識があるぞ」と伝えることも重要じゃないかと思います。

朝倉:守りっていうのは?

村上:「世の中を変えるんだ!」といった夢を語るだけじゃなくて、そのための組織の体制もある程度の準備をしておかなければなりません。ファイナンスはもちろんだし、財務経理含め、守りに対する意識があるとか。守りにも経営の意識が向いている、というのが大事なんだと思います。

 たとえば、「俺の部屋、見に来てよ」って言っても、そもそも「この部屋、なんか汚いな」って思うと、入りたくなくなりますよね。数字は嘘をつきませんから。客観的に多くの企業を見て来たからこそ、夢だけではなくある種ドライに見てくれているわけです。CFOを採用する前に、ある程度社内の体制を作っておくか、仮にそれが無理だとしても、どれだけその意識があるってところを見せておくと、ジョインしてもらいやすくなるんじゃないですかね。成長のブレーキになるのではなく、成長を実現する攻めのCFOが欲しいなら、経営チームが「守り」に感度があることが逆に重要なのかなと。派手そうに見えて、部屋が片付いていると「おっ」って思いません(笑)?

★本稿は、Voicyでの放送を加筆修正し、シニフィアンスタイルに2018年7月に掲載されたもの(編集:箕輪編集室 佐保祐大、高橋千恵、篠原舞)を、一部改編しています。