欧米ですでに始まっている男女別カリキュラム

 男性と女性は脳が違います。それは単なる事実であって、どちらがいいとか悪いとかといった問題ではありません。たとえば、なにかの数を数えるときに、女性が「1・2・3……」と声に出す傾向にあるのも、脳の特徴によります。

 男性は、空間能力を司る右脳で数えているのに対し、女性は右脳だけでなく言語能力を司る左脳も同時に使っているため、言葉となって現れるのです。

 また、女性がカラフルなものを好み、男性がモノトーンを好むのも脳のつくりに原因があります。色を選別する網膜の「錐状体細胞」のもとは、X染色体です。X染色体が1つしかない男性に比べ、2つある女性は色を細かく認識し、描写できるというわけです。

 幼い子どもたちも同様で、女の子が文房具を選ぶのにカラフルでかわいいものを好むのは当然なのです。しかし、小学生の女の子が大人の女性に近い脳を持っているのに対し、男の子の脳はまだまだ発展途上です。

 男の子は右脳がどんどん発達している半面、言語能力を司る左脳はなかなか育ってきません。そのため、言葉が足らずにとても幼い状態に留まっています。そういう男の子をブレークスルーさせるには、彼らの脳の特性を押さえた学習が必要です。

 欧米を中心に、それぞれの能力をより伸ばすために、男女のクラスで学習の仕方を変えるといった学校も出てきています。

 イギリスのあるハイスクールでは、それによって、特に男子生徒の国語や女子生徒の数学の成績に好影響があったそうです。

 このように、性差を考慮した教育は、苦手の克服にも寄与しているのです。