「内なる声」か「他者との関係性」か?
ライフログとしてのfacebook

奥野:デジタルでライフログを管理するという意味では、Facebookが近いですよね。ただ、記録には人に見せたいものと、自分だけで楽しむものの2種類があると思いますが……。

五藤:Facebookでは公開と非公開を選べますが、今は意図的にログを残すというより、受発信した情報がなんとなく自然に残っていくという感じですね。自分自身も意識していないような、他者との関係におけるログが客観的なデータとして蓄積されていくイメージです。

奥野:そういう「他者との関係」というのは、僕のライフログにはあまり必要ないんですよね(笑)。

五藤:たぶん、まだ活用のところまで見えていないからだと思います。どんどんデータはたまっていくけど、それがどう役立つのかは見えていない状態なので。Facebookには「エッジランク」というのがあって、友達との仲のいい度合いというのが数値化されているそうです。

 よくコミュニケーションを取る人とか、メッセージのやり取りをする人、「いいね!」を押す人というのは、その人の発言がすべて見られるようになっているんですけど、縁が薄い人や何ヵ月間も見ていないような人は、自分のタイムラインに出てきづらくなるらしいんですよ。

 もうすでにそういう賢い選別を始めているので、今後自分のタイムラインから人生のハイライトみたいなものが客観的にわかるようになるのかもしれません。第三者とシェアしたり、関係性によって再編集されたログなので、これまでとは少し違ったライフログだともいえます。

奥野:それはそれで興味深いけれど、僕の場合は逆なんですよ。僕のライフログは自分の声を聞くためのものであって、他人の声を聞くためのものではない。他人の声と自分の声をリンクさせたログというのは、確かに自分の新しい声を聞ける側面はあるけど、もしかしたら、自分の本当の声が聞こえなくなってしまうこともあると思います。

五藤:なるほど。確かにログの種類が違いますね。Facebookをライフログのベースとして活用するなら、現状では公開、非公開を使い分けて記録することになりますね。僕は、書く内容に応じて、これはツイッター用、Facebook用、自分専用のEvernote用みたいに使い分けていますが、今後もその辺は変わらないのかもしれません。知らず知らずにたまっていくデータは、今話題のビッグデータとしての用途も生まれるかもしれませんが、自分の内なる声を記録するという意味では、個人用のログは大切ですね(了)。

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