低層階の住民が覚える劣等感とは

 もう一つあげられるのが、高層階と低層階居住者の心理面の問題です。

 それは、高層階の住民が感じる朝などの通勤・通学時間帯のエレベーター待ちの不便さだけではありません。取り上げたいのは、低層階の住民が覚える劣等感です。

 「高層階と低層階で乗るエレベーターが違うため、エレベーター待ちのときに、微かな劣等感を覚えてしまいます」

 「うちのタワーマンションでは、廊下の内装が高層階と低層階で違います。高層階のお友達の家に遊びに行った息子から『〇〇君のおうちは、すごくきれいだったよ!』といわれ、落ち込みました」

 などの声も聞こえてきます。

 周囲から羨ましがられるタワーマンションに住んだのに、劣等感を抱えて過ごすのはもったいないことです。

 このような気持ちにご自身が陥りやすいと感じるなら、購入後の心理的側面も視野に入れて選びましょう。もちろん、防災・防犯性、埋立地の有無、資産価値なども含めた慎重な判断が必要なのはいうまでもありません。

日下部 理絵(くさかべ・りえ)

大学在学中の2001年に実施された第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。大学卒業後、マンション管理会社勤務を経て、マンションの総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」を設立。女性ならではの視点で、マンション管理組合の相談や顧問業務にあたる。また、数多くの調査を通じて、中古マンションの実態に精通する。
これまでに「東京都マンション管理アドバイザー」「東京都立城南職業能力開発センターマンション維持管理科 専任講師」「一般社団法人マンション管理員検定協会 理事長」「一般社団法人マンション建替支援機構 副理事長」などを歴任。
マンションやマンション管理に関して、セミナー講師やコーディネーター、テレビ・ラジオ番組などにも出演多数。また、マンション好きが高じて、個人投資家としても区分所有物件を都心部中心に複数保有している。
主な著書に、『マンション理事になったらまず読む本』(実業之日本社)、『マンション管理組合・管理会社 これからのマンション管理ガイド』(ぱる出版)、『マンションの設備・管理が一番わかる』(技術評論社)、『目指せ! マンション管理員』(住宅新報社)などがある。