注目の野田・小沢会談は、大方の予想通り物別れに終わった。
この席で野田佳彦首相は、小沢一郎元代表に対して「消費増税は待ったなしだ。協力してもらいたい」と要請。小沢氏は「大増税の前にやることがある。賛成と言うわけにはいかない」と応じたという。
結局この会談の意味と言えば、野田首相にとっては「直接お願いした」ことであり、小沢氏にとっては「直接お断りした」ということだろう。2人にとって、次の段階に進むためには必要な手順となる会談だ。
再会談について仲介役の輿石東幹事長は、「必要があればやる。必要がなければやらない」と言明したが、野田首相は今回の会談について「もう1回反すうしながら考えたい」と述べ、再会談についての直接的な言及を避けた。
おそらく野田首相は、再会談をすれば世論がより納得すると思えばそうするだろうし、そのことがアリバイづくりの単なるパフォーマンスと受け取られると思えば今回限りにするだろう。
一筋縄ではいかない自民党との連携
今回の会談によって自民党が「小沢切り」が必至となったと受け取れば、消費税増税法案の審議が急速に進展することになる。実際、会談後首相は、法案の今国会成立のため、自民党などと修正協議に入るよう民主党に指示し、次の段階に大きく踏み出した。
しかし、自民党は、このまま可決成立まで快く協力するかというとそう甘くはない。
一歩進むごとに野田首相に難題を突きつけてくるに違いない。
2人の問責閣僚を更迭するための内閣改造は、野田首相にとっても望むところだろう。自民党に気を使ってそれが大幅になり、官房長官や幹事長などの政権の要に及ぶ可能性もある。
また、自民党の党内事情をみると、谷垣自民党総裁が強くこだわる「話し合い解散」は蹴り続けても、法案成立にとっての大きな障害にはならないだろう。
問題は、民主党マニフェストの生命線とも言える「最低保障年金制度」などの明確な撤回である。
要するに、自民党の求めることは野田政権の自民党政権化である。それは同時に、霞ヶ関政権化をも意味している。
消費税増税に「政治生命をかける」と言う野田首相にとっては何でも丸のみしてもよいのかもしれない。
しかし、ほとんどの民主党議員はそれでは次の選挙を戦えなくなる。