映画、音楽、演劇、お笑いなどのエンターテインメントの世界は、実は意外なほど大きな市場を形成しており、その市場規模は、じつに9兆3301億円にも達する。
週刊ダイヤモンド8月23日号の「エンターテインメント特集」では、コンテンツ産業の「映像」「音楽・音声」「ゲーム」、「図書・新聞、画像・テキスト」分野の「コミック・コミック誌」、「演劇やお笑いなどのステージ」、「遊園地」などを対象に、エンタメビジネスの全容に迫った。
このエンターテインメント業界では、現在大きな地殻変動が起きている。本特集の見どころは、そうした最新のトレンドを44ページに渡って追いかけていることだ。エンターテインメントの動向や作品の批評を紹介するメディアは数多いが、「ビジネス面」に焦点を当て、どれぐらい儲かっているのか、なぜプレーヤーが続々と参入しているのかといった産業構造を分析しているものは、これまで数少なかっただろう。
今年上半期のヒット映画を例に取れば、、ベスト10に入るすべての作品の制作にテレビ局が関わっているが、テレビ局は映画でどれぐらい儲けているのか、どのようにしてヒット作品を生み出すのか、といった業界の内幕にも切り込んでいる。
以下に紹介するのは、その主力コンテンツの一部だ。興味がある方は、ぜひ手にとって読んでいただきたい。
・集客力抜群! 元気で、熱いヨン様ファンの経済効果
・拡大再生産を続ける吉本興業の変幻自在な時代対応力
・エンタメビジネスを変えた劇団四季の“兆候収益”経営
・出雲の阿国もビックリ! 空前の歌舞伎ブーム
・1億“総エンターティナー”にしたYOUTUBEの功績
また、本特集では、エンターテインメント関連の主な上場企業103社の「儲けっぷり」もランキングしている。103社を10業態に分類して、売上高経常利益率の5年間の推移もチェックしてみた。
現在、日本政府は“知的財産立国”の重要な柱として、映画、アニメ、ゲームなどのエンターテインメント、コンテンツ産業の育成・新興に積極的に取り組んでいる。自動車や家電製品など、ハード面では国際競争力を持つ日本だが、映画、音楽などソフト輸出はまだこれからだ。
世界で最も有名なエンターテインメント企業を作り上げたウォルト・ディズニーは次のような言葉を残している。
「他人に喜びを運ぶ人は、それによって、自分自身の喜びと満足を得る。与えることは最高の喜びなのだ」と。
エンターテインメント産業は、人びとを幸せにし、楽しませる産業である。そして、それを担う企業は世の中になくてはならない存在である。その一端を、本特集から読み取っていただきたい。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 前原利行)