バルセロナ化で直面する問題
「メッシなし」で最適化は可能か

 グアルディオラ監督に率いられるバルセロナが眩い輝きを放った2008-09シーズンを境に、バルセロナの強さに憧れ、スタイルを倣うチームが世界中に出現した。ヴィッセルもそのひとつに数えられるが、ほんのひと握りの例外を除いて、実はほとんどが失敗に終わっている。

 例外とはグアルディオラ監督がその後に指揮を執ったバイエルン・ミュンヘンであり、今現在も率いるマンチェスター・シティとなる。莫大な資金力を誇るブンデスリーガの名門とプレミアリーグの強豪は、グアルディオラ監督の指導力と融合させることでイノベーションに成功した。

 ならば、バルセロナを追いかけた他のチームに共通している事情は何なのか。同じスペイン人指揮官で、ヴィッセルを撃破したセレッソを今シーズンから率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は開幕前の時点で、一般論として「バルセロナ化」が直面する現実をこう看破していた。

「理想とする超一流の選手たちがそろっていた上で、リオネル・メッシが違いを作っていたからだ。プレー内容に関しても結果に関しても、ほとんどの試合でメッシが決定的な選手になっていた」

 クリスティアーノ・ロナウドと並ぶ世界最高のストライカー、メッシが驚異的なペースでゴールを量産したからこそ、バルセロナは対戦相手を畏怖させてきた。ただ、メッシの代わりは存在しない。難解なアプローチをいかに最適化させるか、という点でリージョ監督の采配は注目された。

 果たして、セレッソ戦で先発としてデビューしたビジャは、90分間の大半で左タッチライン際を主戦場とした。対照的に右タッチライン際にはポドルスキが張りついている。そして、真ん中のやや下がり目を基本ポジションとして、自由自在に動き回ったのがイニエスタだった。

 センターフォワードを置かない戦術は「ゼロトップ」あるいは「偽9番」と呼ばれる。グアルディオラ監督がメッシを介して具現化させ、一世を風靡した戦法のキーマンを、リージョ監督はビジャではなく、本来は黒子としてパスの供給役に徹するイニエスタに託した。