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この世界の何よりもの特徴は、「誰かが規定したゴールを基準に、すべてが動いている」ということだ。
受験勉強であれば偏差値や大学のランク、就職活動で言えば会社の規模や初任給、ビジネスなら市場シェアとか新規顧客の獲得数、あるいは、上司からの人事評価など……。
なぜそれらを高めることが正しいのかは不問に付したまま、みんなが同じKPI(重要業績評価指標)を「絶対善」と見なしている空間だ。
実際、サラリーマンとして企業で働く人は、多かれ少なかれ、会社に与えられたKPIを前提に動いているはずだし、大学研究者などのいわゆる「象牙の塔」型の社会でも、ベースにあるのは「同業者」との競争関係だったりするだろう。
この世界で勝者になるために必要なのは、ただ1つ、生産性を高めることだ。
人に与えられている時間は等しい。持てる能力や資源にも大した差はない。だとすれば、その範囲のなかで、いかに「収穫量」を増やすかが勝敗を分ける。要するに、「単位時間あたりのアウトプットを増やすこと=効率化」がすべてなのだ。
そのための方法論として登場したのが計画→実行→評価→改善(Plan-Do-Check-Action)から成るPDCAサイクル、いわゆる「カイゼン」だ。
たとえば、受験勉強における最も手堅い対策は、「過去問トレーニング」である。
過去の出題パターンをできるだけたくさん脳内に蓄積しておき、正解を導き出すまでの時間を最小化する。間違えたところはしっかり復習して、次回以降、同じ失敗をしないための材料として生かす。こうした「カイゼン」のサイクルこそが、より高いスコアを獲得するうえでは欠かせない。
ビジネスの世界で「働き方改革のおかげで生産性がアップした!」「彼は“できる人”だね」「彼女は本当に仕事が速くて優秀だ」などと言われるときも、根本にある理屈はこれと大差ない。
仕事のスピードを速めたり、やるべき仕事の範囲を絞ったりすることで効率を高め、単位時間あたりの達成度をアップさせることが大前提になっているからだ。