「もうマンションを買ってもいいかな。でも損はしたくないし、ローンも怖い」。
そんなあなたが買うべきは、「60m²前後」×「駅徒歩7分以内」×「2001年以降完成」のマンションしかありません。

本連載の書き手は、「不動産ひと筋30年! 12000人と面談し、成約件数は6000件以上」という圧倒的なキャリアを持つ後藤一仁氏。不動産仲介会社の“現役”社長です。「不動産を通じて、1人でも多くの人に幸せになってほしい」という願いが込められた『マンションを買うなら60m²にしなさい』の著者でもあります。「損をしない、戦略的なマンション選び」を語ってもらいます。

「一生賃貸」派が知るべき“高齢者の住宅難民リスク”

「高齢者が入居可能な物件」が少ない理由

 今日もどこかの不動産仲介会社では、賃貸担当者が80歳以上の単身高齢者の物件探しに苦労しています。

 数十件の貸主や賃貸管理会社に「高齢者が入居可能な物件はないか?」と尋ねますが、断わられ続け、なかなか見つかりません。仲介会社の担当者もはじめからその状況はわかっているので、物件探し自体を尻込みすることも多いです。

 そもそもなぜ、高齢者が入居可能な物件は少ないのでしょうか。貸主の視点で考えてみましょう。

 例えば、身寄りのない1人暮らしの80歳の高齢者に部屋を貸した場合、「部屋の中で孤立死して、日数が経過してから遺体が発見される」ということもあります。

 そしてその場合、「原状回復費用がかかる」「再募集の際、告知義務の問題などにより、新規の入居者が決まりにくくなることがある」「他の入居者が退出してしまう」というリスクがあります。

 また、認知症等の発症によりトラブルが起きた場合、その際の解決費用の負担などのリスクもあります。

 今は、「孤立死(孤独死)保険」などもあり、孤立死の負担を保険でカバーすることもできるようになってはいます。

 しかし、原状回復費用以外の問題もあるため、「貸したくてもなかなか貸しづらい」という貸主が多いのが現状なのです。