そこで、コミュニケーションのセンスを磨くトレーニングをしていただきながら、並行して、営業として知っておいて損はない「商談時に役立つ心理学の知識」をみなさんと一緒に見ていこう。

 今回は、商談時の相手の声から、「相手の心理状態を推測する方法」を取り上げる。

相手の心理状態は
本当に把握できるのか

 商談の際、「相手がどのような心理状態なのかを知りたい」と思う営業は多い。

 これは、裏を返せば「相手の心理がわかれば、相手に適切な対応をすることができる」と考える営業が多いということだ。

 相手の心理状態を正確に把握できれば、商談の主導権をこちらが握ることもできるだろう。その結果、スムーズに商談を進め、契約を獲得することも意のままになるかもしれない。そうなれば、営業として結果を出すことも容易になるだろうし、高い評価を得ることも期待できる。

 このため、相手の心理状態を知りたいと思う営業は、非常に多い。だが、本当に相手の心理状態を適切に知る方法はあるのだろうか?

 心理学等でも、相手の心理状態を推測するためのさまざまな研究がなされている。しかし、いずれの研究でも「相手の仕草や表情、服装などから、相手の心理を正確に推測することはできない」と結論付けている。このような結論に至った論文は、枚挙にいとまがない。

 さらには、それらの研究の中には、「相手の仕草や表情、服装など視覚から得る情報は、相手の心理を推測する際に誤ったバイアスをかけてしまうことすらある」と結論付けているものもある。これが2019年の時点の心理学における、「相手の心理を推測できる可能性」に対する見解だ。

 では「相手の心理を推測する有効な方法は、1つもないのか?」というと、そうでもない。

 心理学においては、相手の「あること」に着目することで、相手が自分をどのように位置付けて見ているかを知り得ることが可能だという論文がある。

 何に着目するのがいいのか?というと、「相手の声の高さ」だ。