米半導体大手、エヌビディアの株価がさえない。ソフトバンクグループが株を売却するなど、業績悪化で先行きが不安視されるAI向け半導体の“雄”は、大型買収で勝負に出た。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

「2018年度は記録的な年だったが、終わり方は残念だった。しかし、高速計算処理の先駆者というわれわれの地位は独自で強固なものだ」

 2月14日、米半導体大手エヌビディアの決算説明会。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は周囲の懸念を払拭させるかのように、こう強調した。

 ファンCEOの言葉通り、年間を通してみれば、18年度の決算は上出来だったといえよう。売上高は前年度から21%増の117億ドルと初めて100億ドルを突破。営業利益も同18%増で、過去最高となる38億ドルを記録した(図1)。

 ところが、昨秋のピーク時には290ドル近かった株価は4割以上下落。そして、IT業界の“目利き”として名高い、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が全株売却を決断したことも、エヌビディアの将来性について投資家に懸念を抱かせる材料になっている。