アップルへの返済条件厳しく

 JDIは2016年12月に主力液晶工場である白山工場(石川県白山市)の稼働を開始した。その建設費用の大半は、アップルからの総額1700億円の「前受け金」で賄われた。

 前受け金とは、一般的には製品を販売する前に受け取る代金を指すが、JDIの場合は、工場建設のためにアップルが立て替えた事実上の借金を意味する。

 関係者によると、アップルはJDIに対して「年間2億ドル(約220億円)または売上高の4%のいずれか高い金額を四半期ごとに返済する」「JDIの現預金残高は300億円以上を維持する」という2つの契約条項を課している。これでJDIは返済義務を負っている。

 さらにこの契約には、一定の条件が満たされたときに発動できる「トリガー条項」も組み込まれており、仮にJDIが2つの条項を守れなければ、アップルは「前受け金の即時全額返済、または白山工場の差し押さえ」を要求できる権利を持つという。

 一見するとただの借入金だが、通常の借り入れと違うのは、その返済原資は貸し手であるアップルからの注文次第ということだ。アップルがiPhone用の液晶を注文しているうちはその代金で返済が続けられるが、アップルが注文を控えれば、たちまち返済原資に行き詰まる。

 一方でアップルは、いざとなれば主力の白山工場を差し押さえることができる。つまり、JDIを生かすも殺すもアップル次第。それを前述の交渉関係者は「搾取」と呼んだのだった。

 この借金についてJDIは、白山工場が本格稼働を始めた17年4月から返済を開始しており、17~18年度の2年間で約700億円を返済する計画になっている。

 実際に2月14日に発表した18年度(19年3月期)の第3四半期決算において、12月末の前受け金残高は1093億円だった。第4四半期も80億円前後の返済が計画されており、3月末のアップル向けの借金残高は約1000億円になる見込みだ。