東大を独学で現役合格し、さらに東大大学院を受験で合格。学生時代から取得した資格の数は600を超える。これまで20年以上、試験をずっと受け続けている著者だからわかる、点数をとるワザを紹介していきます。小手先のテクニックではなく、長く勉強し続けていくために必要な戦略が詰め込まれている東大→東大大学院→600個超保有の資格王が教える点数稼ぎの勉強法から、一部抜粋して紹介していきます。東大に受かる人や本当に頭のいい人の学ぶ姿勢は、必読です。

苦手科目には「のびしろ」がある

 勉強において、苦手な科目や分野というのはどうしても対策を後回しにしたり、勉強自体を敬遠したりしがちです。しかし、得点力を効率的に底上げするためには、苦手なことこそ、積極的に取り組むべきです。

 人生の一般論としては、自分の得意な分野や、強みとなるポイントを伸ばしていくほうがいいでしょう。自分の得意なことを磨いて仕事にしたり、他者にはない強みを活かして周りと差別化したりすべきです。

 けれども、試験勉強はちょっと違います。なぜかというと、伸ばせる幅に「満点」という上限があるからです。

 100点満点中80点はとれるような得意科目をさらに伸ばそうとしたところで、最高でも上限の100点までしか伸ばすことはできません。すでに80点とれている科目を100点にもっていくことは想像以上に難しいですし、仮にできたとしても最大20点しか上乗せできません。

 しかし、現状苦手としていて40点しかとれていない科目を伸ばすことができれば、最大60点も上乗せできます。5教科の総得点を伸ばすなら、こちらのほうがいいに決まっています。

 私が東大に合格できたのも、国語を伸ばしたことが大きな勝因でした。

 東大は理系でも二次試験に国語があります。普通は理系学生だと数学や理科の勉強に注力する人が多いのですが、数学や理科で90点前後をコンスタントにとれるようになってくると、5教科の総得点に頭打ち感が出てきます。

 そこである日決心して、苦手だった国語に注力して勉強することにしてみました。すると、想像以上に伸びたのです。

 東大模試でも、数学や物理の科目はそこまで上位ではないのに、国語だけは常に成績優秀者一覧に名前が載るようになりました。他の学生とは逆の戦略をとることで総得点を伸ばし、有利な位置に立てたのです。

 苦手というのは多くの場合、単なる思い込み・食わず嫌いです。もしくは、得点力アップのコツを知らないだけです。「わからない用語の意味をあらためて調べてみる」レベルの基本的な勉強から思い切ってやり直してみると、意外とすんなり点数を伸ばせることもあります。

 苦手科目を克服して5教科で満遍なく得点できれば、大学入試センター試験(2021年以降は大学入学共通テストに移行)の総得点が上がり、国立大学も狙いやすくなります。

 苦手科目は「のびしろ」であると前向きにとらえましょう。「得意科目より苦手科目を伸ばすほうがむしろ戦略的に有利だ」と認識を改めることで、苦手科目を避けがちだった意識も変わってきます。

 そして、苦手科目で点がとれるようになると、苦手意識もあっさりなくなります。「過去の自分はどうしてあんなに避けていたんだろう」と思えるようになるはずです。

 ただ、「自分は目指す大学・学部の試験科目が英語と国語しかないから、数学とかは本当に要らないのだけれど」という人もいるかもしれません。そういうケースも確かにあるでしょう。

 そういう人でも、ひとつの科目の中に、得意なところと苦手なところというのが必ずあるはずです。たとえば英語なら、文法は得意だけれどリスニングや作文は苦手というようなことはないでしょうか。

 ある科目の中での「苦手」と「得意」を洗い出し、「苦手」に注力して総得点を伸ばすことはじゅうぶん可能です。