本を読まない若者にこそ、手に取ってほしい
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)の主人公=ビリギャル。1988年3月生まれ、名古屋市出身、東京都在住。高2の夏に小学4年レベル、偏差値30の学力しかなかったが、その後、1年で偏差値を40上げ、慶應義塾大学に現役で合格。卒業後はウェディングプランナーとして活躍、2014年にフリーランスに転身。現在は全国での講演活動やイベントの企画運営をしながら、札幌新陽高校にて「校長の右目」という役職にてインターンをするなど、多岐に渡り活動。2019年3月に初の著書『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』(マガジンハウス)を出版、4月より、教育学の研究のために、大学院に進学。
佐々木 私には6歳と3歳の娘がいるんですけれど、彼女たちが中学生ぐらいになったら、この本をぜひ読んでほしいなって思います。
小林 嬉しいなあ~!6歳はまだ早いと思いますけれど、中学生ぐらいには読んでほしいなと思っていて。勉強が苦手で、本も全然読んだことがない中学生でも読めるように、頑張ってわかりやすく書いたつもりなんです。
佐々木 素晴らしいですね。
小林 私自身、全然本を読まない学生だったので…。坪田先生に出会って、「君、最後に本を読んだのはいつ?」と聞かれたので「小学校1、2年生のときに青い鳥文庫の『いちご』って本を読んだ」と言ったら、「え?それ以来読んでいないの?」って驚かれた(笑)。そして「それは君ね、もったいないよ」と言われて、高2の夏から月に1冊ずつ課題図書を読んで読書感想文を提出するという宿題を課せられて…大学受験の間際までずっとやっていたんです。
佐々木 へえ~!
小林 昨日も坪田先生と話していたんですけれど、「本の選定って、すごく重要だよ」って。先生が最初に私に読ませてくれたのが、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』だったのですが、それで「あ、本ってめっちゃ面白いんだ!」と気づいたんです。それまで、本はつまらないものだと思っていたけれど、読む本が違うだけでこんなにいろいろ伝わるし、いろいろなものが見えるんだ」って気づいた。だから、自分の本も、読む人にそう感じてもらいたいと思いながら書きました。
佐々木 なるほど、だからこんなに読みやすいんだ。
小林 本の5章に、札幌新陽高校という学校で4ヵ月インターンをさせていただいた話を書いたのですが、ご覧になりました?
佐々木 「校長の右目」という役職で、インターンをしていたんですよね?
小林 そうです。『ビリギャル』のおかげでいろいろな学校に行く機会ができて、教育に興味を持つきっかけをいただき、「実際の現場を見てみたい」と思っていたらご縁をいただいたんです。先生でも生徒でもない立場ですが、「元スーパー劣等生」の私だったら、校長や先生たちには見えない景色が見えるんじゃないかと思って、お給料をいただかずに働いてみたんですね。
そこでの経験は、私の価値観を大きく変えてくれました。その高校で、一番私にまとわりついてくる女子がいたんですけれど(笑)、語彙力や表現力が全然なくて。でも一生懸命私に声をかけてくるんです。
佐々木 へえ~、その子は何年生?
小林 今は高校2年生です。その子に「どうしたらコミュニケーション力が上がりますか?」と相談されて、この本を「読みな」と渡したら、4日後に「初めて本を読み切った!」と興奮して電話がかかってきて…「この本すごいよ、さやちゃん。絶対みんな読んだほうがいい」って言ってくれたんです。そして読書感想文もね、送ってくれて。
佐々木 それは嬉しいですね!
小林 話し言葉をそのまま文字にしていて、日本語的にみるとめちゃくちゃなんですけど(笑)、ものすごい熱量が感じられたんです。思わず坪田先生に見せたら、「昔のさやかちゃんみたいだね。勉強は苦手かもしれないけれど、一生懸命なのが伝わってきて、素直でいい子なんだね」って言ってくれて。まさにこういう子に読んでほしかったから、嬉しくて。
佐々木 子どもを持つ、すべての親にも読んでほしいと思いますね。本の冒頭に「物心ついたときから、ああちゃん(さやかさんの母)がずっとこう言っていた。『さやちゃん、あなたは世界一幸せになれる子よ。あなたは本当にいい子だから』」とありますが、これを言える親って、自分を含めてどれだけいるんだろうな…と。親の立場から見ても、最初のページから学びがある。
小林 うちはお母さんがすごいんですよ。本にも書いたけれど、付き合っている彼と別れるタイミングで、その彼に感謝の手紙を渡すっていう。書きながら改めて、うちのお母さんスゲエなって思いました(笑)。
佐々木 あと、この「呼び出しはチャンス」ってところもすごいよね。さやかさんのことで学校に呼び出されたとき、お母さんは『さやかが何をしても、どんなことがあっても、私はさやかの味方でいるよ』ということを、私に知ってもういいチャンスだと思った」って。これは、すべての親が参考にすべき発想だと思いました。
小林 なるほど。
佐々木 普通の親だったら、呼び出された瞬間に「叱る」ことしか考えないわけですよ。でも、この本を読んでおけば、何か問題が起きたときも「これはチャンスだ」って思える。うちの子はまだ小さいけれど、将来何か起こったときのためにシミュレーションしておけるなと思いました。
小林 ありがとうございます。