「愛される力」があれば、キラッキラな大人になれる
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)の主人公=ビリギャル。1988年3月生まれ、名古屋市出身、東京都在住。高2の夏に小学4年レベル、偏差値30の学力しかなかったが、その後、1年で偏差値を40上げ、慶應義塾大学に現役で合格。卒業後はウェディングプランナーとして活躍、2014年にフリーランスに転身。現在は全国での講演活動やイベントの企画運営をしながら、札幌新陽高校にて「校長の右目」という役職にてインターンをするなど、多岐に渡り活動。2019年3月に初の著書『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』(マガジンハウス)を出版、4月より、教育学の研究のために、大学院に進学。
小林 一昨日ぐらいに、また別の高校生からメールが来たんですよ。高校時代は短いスカートをはいて、いつも日サロ帰りみたいに焼けていて、めちゃめちゃかわいいギャルの女の子。いまは専門学校生なんですが、高校時代はこの子も「さやちゃん、遊びに行こう」とかって私について回ってきた子なんです。
佐々木 どんなメールだったんですか?
小林 深夜2時ぐらいに「さやちゃん、人生がつまんなすぎて困り果てているんだけど、どうしたらいい?」って。翌朝気づいて「どうした?」って返信したら、「本当キラキラしている人、人生楽しんでいる人が何をしているか見たくなった」っていう。それに対して、「気持ちわかるよ。私もそう思ったから大学受験したんだよ」と返したら、「あぁね?」って。
佐々木 「あぁね?」とは?
小林 「そうか、そういう意味ね」っていうニュアンス。で、会話を続ける意思がないのかなと思ってそのまま放置していたら、昨日の夜中、また2時に「ねえ、何で無視するの?さやちゃんに救い求めたのに」ってメールが来たんです。でもこれを見て、「私のほうが一生懸命会話を続けなきゃいけなかったのか」ってへこんだ。
佐々木 それ、なかなか難しいね。
小林 相手の気持ちを考えながらしゃべるって、すごく重要。日本語が下手でも、一生懸命何かを伝えようと努力するんじゃなくて、彼女みたいにすごく受け身で、すごく自己中心的なコミュニケーションって、こんなふうに傷つく結果になってしまうんだって感じました。だから、彼女にも『伝え方が9割』を読んでほしいなって。…絶対読まないだろうけどね、活字。
佐々木 マンガ版もあるんですよ。
小林 あ!それなら読めるかも。彼女以外にも、活字は苦手だけれどマンガは読めるってこは結構多いんですよね。佐々木さんは、学生さんとお話になる機会ってありますか?
佐々木 ありますよ。小中高で講演会をする機会、結構あるんです。
小林 小学生にどんな話をするんですか?
佐々木 「相手が何を思っているか、考えてみよう」というようなワークをやる機会が多いですね。僕自身、子どものころ、それができていなくて苦労したから。そもそも相手の気持ちを考えるなんて、思ってもみなかったんですよね。
小林 なかなか難しいですよね、自然には。
佐々木 例えば、掃除当番なのに掃除してくれない子がいたら、「なんでしてくれないの?掃除してよ」と言いたくなるけれど、相手の気持ちを考え「どうすれば気持ちよくやってくれるようになるか」を考えてみる。すると、褒められると嬉しいだろうな…なんて想像して、「ユウタ君が窓を拭くと、すごいキラッキラになるよね」と伝えると、ユウタ君も「じゃあやってやろうかな」という気分になるかもしれない。少なくとも、「窓拭いてよ」というより何倍もやってくれる確率が高まる。こういうワークをすると、相手の頭の中を1回想像してみようという気持ちになれるんですよね。
小林 私、結構昔から、相手の気持ちを想像できるタイプかも。偉そうに言っているんじゃなくてね。自分の本の中で「とにかく愛される力とか、応援される力を持ったら、一番勝ちだ。サイヤ人になれるぞ」って書いたんですけど、それって相手の気持ちが想像できる人だと思うんですよね。私、普段から「ありがとう」ってむちゃくちゃ言葉にするし、坪田先生に習っていたときも毎日のように、「本当に先生、マジ天才!出会えてクソハッピー!」みたいなことをずっと言い続けていたから、先生も目をかけてくれたのかもって思っているんです。
佐々木 愛される力…いい言葉ですね。「キラッキラ」がそんなに嫌なら、本のタイトル、これに変えたら?(笑)
小林 「愛される力」(笑)
佐々木 まあそれは冗談として、さやかさんがおっしゃる通り、愛される力は人生を大きく左右しますよね。さやかさんを応援したいと思う人がたくさん集まってきているのは、愛される力があるからこそ。まさに、「キラッキラの君になるために」のヒントですよね。
小林 運と愛嬌だけはある(笑)。でも、「キラッキラ」なんてタイトルにして、友達とか、これ見てどう思うんだろうな…ってかなり恥ずかしかった。佐々木さんは、『伝え方が9割』を出したとき、どんな気持ちでした?
佐々木 同じようなことを思いましたよ。当時は広告代理店に勤めていたので、周りに「伝えるプロフェッショナル」がたくさんいたのですが、本を開いたらいきなり「デートの誘い方」ですからね(笑)。広告のプロからすると「うわ、だっさ!」って感じると思うんですよ(笑)。
小林 えー、でもこういうのが読者の人生の役に立つんですよ。
佐々木 はじめはもっとかっこいいことが書きたかったんです、出だしで。「マーケティングとは?」とか、業界用語的なものをね(笑)。でも、編集長の土江さんに「佐々木さんは誰にこの本を読んでほしいんですか?業界で働いている人なのか、それとも一般の人たちですか?」と言われて、ああマーケティングとかそういう話じゃないなって気づいた。
小林 なるほど。
佐々木 さやかさんの本も、もしかしたら「わあ、キラッキラなんてかっこワル!」って思う人がいるかもしれない。でも、多くの人は、あの『ビリギャル』として大成功した人の話だと、素直に受け止めると思う。私もキラッキラになりたいって。
小林 そう思ってもらえるよう、頑張ります…!
佐々木 さやかさんは、将来どうなりたいんですか?
小林 プラチナチケットに何を書くかですね?う~ん…私みたいに、ワクワク、生き生き、生きていける子どもを増やしたい。いや、子どもはもちろんだけど…大人も、だなあ。大人がキラッキラして、ワクワクして生きていないと、子どももワクワクしないので。子どものために、まずは大人がそうならなきゃいけないな、そのために活動していきたいなって思います。
佐々木 なるほど、確かに。
小林 だから講演活動ももっとしたいし、この本をたくさんの人に読んでもらうためにもテレビや雑誌にも出ていきたいし、大学院に行って教育理論をもう少し勉強したい。そしてやっぱりいつかは自分も子育てをしたい。まだまだ途上です。
佐々木 冒頭にも話したけれど、その「途上」がこの本の魅力。少し上の、ロールモデルになり得るセンパイの経験談は、学生には本当に役立つだろうし、その親世代にも学びの多い本だと思います。
小林 嬉しいです!そんな本を書けたのは、『伝え方が9割』のおかげです(笑)。
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp