ファーウェイのシェアが落ちるとすれば、その穴を埋めるのはサムスンやアップルといった既存の大手メーカーよりも第3のメーカーである方が、キャリアにとって望ましい。そう考えると、日本の携帯電話メーカーがファーウェイに取って代わる地位を占めることが、事態が丸く収まる最もよいケースだ。

 日本の各エレクトロニクスメーカーにとって、ファーウェイは各種スマホを構成する部品の供給先でもあり、単純にファーウェイのシェアが落ちるのは日本企業にとってもマイナスだ。そこを埋める日本メーカーが現れれば、部品メーカーとしての日本企業にとっても、新たな部品の供給先となる。

日本メーカーはなぜ
「量産型」が不得意なのか

 しかし、今のままでは日本の携帯電話メーカーが、グローバルでファーウェイにとって代わる端末メーカーになるのは難しい。日本のスマホメーカーはハイエンドモデルをつくるのは得意だが、効率よく安価に「量産型」モデルをつくるのに長けていないからだ。

 それは、ジオングの記事で述べたように、「80%の割り切り」ができないこととも関連する。日本メーカーの品質基準は高く設定されている。それは、法的な外部要因の規制ではなく、自社内でコントロール可能な社内基準である。つまり本来、発想を転換すれば変えられるものなのだ。しかし、「うちのブランドをつけて売る以上は、これくらいの品質を満たさなければ……」と自社ブランドを高く評価しすぎるため、ほどほどの「量産型」をつくることができないのである。

 もう1つの要因は、2000年代以降、国際市場で負け癖がついているため、今一度グロール市場に打って出ようという勇気がなくなっていることだ。スマホ市場で最後の日系グローバルメーカーといわれたソニーモバイルも、赤字続きで世界の各市場から撤退するモードに入っている。

 しかし、本当に日本メーカーには、グローバル市場に打って出るチャンスがないのだろうか。日本では、携帯電話の端末料金と通信料金をセットにした端末の割引販売が長年行われてきたため、ハイエンド機種でも割安に購入することができ、日本のスマホ市場にはハイエンド商品しか存在しなかった。

 しかし、これからは事情が異なる。各社、通信と端末の料金を分けるよう政策的に指導を受けており、今後は日本市場でも低価格モデルが必要になってくる。先に挙げたソニーモバイルも、NTTドコモ向けの夏モデルではハイエンドとなる10万円オーバーの機種と、5万円以下となる低価格機種の両方を用意している。