INSEAD(欧州経営大学院)のW・チャン・キムとレネ・モボルニュの両教授はあるとき、過去百年にわたる数々の戦略事例を研究した。
彼らはその結果を踏まえ、企業が勝者となるためには、ライバル同士がひしめく血に染まった赤い海(いわゆる「レッド・オーシャン」)で戦うのではなく、競争がなくて成長の機会が熟した「ブルー・オーシャン」市場を創造することが重要だと論じた。
レッド・オーシャンでは、企業同士が既存市場で真っ向から戦い合うことになる。それはいわば、同じパイ(顧客層)を奪い合う消耗戦だ。ライバルが増えるほど疲れ果てて各社のシェアは下がり、収益基盤も弱りかねない。
一方、ブルー・オーシャン戦略では、そんな激戦区を離れた“台風の目”のような領域から新たな顧客層にアプローチする。未知の需要を掘り起こし、成功をつかみ取れば、激しい競争環境から身を遠ざけながら成長することができるメリットがある。
レッド・オーシャンとブルー・オーシャンの基本的な戦略の違いを比較したのが下表だ。ブルー・オーシャンの世界は、「競合他社を打ち負かす」と考えるレッド・オーシャンとは思考構造が根本的に異なる。競争自体を無意味にすることで差別化と低コストの“二兎を追う”戦略も可能だと考える。