仏国債やCLOに莫大投資
物議醸す邦銀の市場運用

「日本からの資金流入額が著しいんだが、この数字は正しいのか?」

 大手証券会社の幹部は、あるレポートに対する問い合わせに目を見張った。内容は日本の金融機関によるフランス国債の売買状況。驚きの理由は、問い合わせの主が仏財務省だったからだ。

 確かに日本銀行によると、今年3月、国内金融機関は仏国債を約3兆円買い越した。これは、2014年5月の約1.9兆円という数字以来、記録的な水準で、そもそも仏国債の市場発行残高は約200兆円。つまり、1カ月間で1%以上が同一国で買われたわけだ。仏当局が驚くのも無理はない。

 渦中の買い手には、メガバンクの名前が挙がる。とりわけ、複数の市場関係者が口をそろえるのが、「三菱UFJが2兆円ほど買ったようだ」という見立てだ。同時に、利ざやが見込める仏国債は地方銀行界でも人気で、ジャパンマネーが一気に流れ込んだようだ。

 さて、邦銀により仏財務省が腰を抜かすことに至ったのはなぜか。背景にあるのは、国内の金利低迷により、従来の運用モデルでは勝てなくなったからにほかならない。

 かつて多くの地銀では、「国債を買って満期保有する“バイ・アンド・ホールド”。これだけで、収益面で余裕ができた」(大手地銀の元運用部門ヘッド)。

 だが、この投資手法は16年に導入された日銀のマイナス金利政策により、「国債のイールド(利回り)がつぶれた」(同)ことで終焉を迎える。

 そこで地銀は、米国債の積極投資にかじを切る。だが16年末から18年末まで、米国において金利上昇局面に突入。

 債券価格は金利と逆方向に動くため、金利上昇に伴い債券価格が暴落したことで、多くの地銀が含み損を処理せざるを得ない状況に陥った。

 そして、さらに次の運用先として、昨年度末から欧州債に注目。3月ごろは仏国債投資が熱を帯びたが、足元ではポルトガル国債などがじわりと人気を集めている。

 この状況に対し、かつて静岡銀行で資金証券部長を務め、現在は地銀に投資助言を行う和キャピタルの小栗直登社長は「地銀がイールドハンターと化した」と指摘。

 精緻なリスク分析ができているのか、懸念を表明する。