フェイスブックは、ユーザーが依存するようデザインされている?

 専門家が用心深くなる理由は、彼ら自身が、抵抗させずに人の心をつかむテクノロジーをデザインしてきたからに他ならない

 1990年代から2000年代初期の鈍重なITと違って、現代のテクノロジーははるかに効率的で魅力的だ。インスタグラムの投稿を通じて、何億人という人々がリアルタイムで生活の1コマをシェアしあっている。その投稿はコメントや「いいね!」ですぐさま評価がつけられる。かつてダウンロードに1時間かかっていた楽曲も、今なら数秒で手元に届くし、通信速度が遅くてダウンロードをあきらめる必要もなくなった。テクノロジーは便利で、速くて、あらゆることを自動で叶える。

 だが同時に大きな代償も運んでくる。人間は、ある行動が1回限りなのか、それとも2回、もしくは100回繰り返すべきことなのか、そもそも一度も手を出さないほうがいいのか、反射的な費用便益計算を積み重ねて決めている。メリットがコストを上回るなら、同じ行為を繰り返さずにいるのは難しい。特にそれが神経学的にジャストなツボを押さえているとなれば、せずにいることのほうが不可能だ

 フェイスブックやインスタグラムにつく「いいね!」は、そうしたツボの1つになる。ワールド・オブ・ウォークラフトでミッションを遂行するのも、自分のツイートが数百というツイッターユーザーにシェアされていくのを見るのも、同様のこと。SNS、ゲーム、その他のインタラクティブな体験の創出・改良を仕掛ける側は、実に巧みにユーザーのツボをくすぐる。何百万ものユーザーで何千回とテストを重ね、どんな趣向を凝らせば効果的に響くか見極めている。画面の背景色、フォント、サウンドなどの工夫で、ユーザーができるだけストレスなく巻き込まれていくように取り計らっている。技術進歩によって、そうした体験が人を誘惑する力は強くなる一方だ

 2004年のフェイスブックは、楽しかった。

 2016年のフェイスブックは、ユーザーを依存させて離さない。