電力小売り全面自由化から3年が過ぎ、「新顔」のプレーヤーが電力ビジネスに続々と参入している。大競争時代の主戦場、プレーヤー、陣営を明らかにしよう。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
DeNAが電力ビジネス本格参入
これは序章にすぎない
IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が電力ビジネスに本格参入することがこの7月、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。エネルギーをヘルスケア、オートモーティブに次ぐ成長分野と位置付け、収益の柱として育てていく方針なのだ。
DeNAは2月に、関西電力と石炭火力発電所の燃料運用最適化を行うソリューションの共同開発に基本合意していた。さらに4月には社内にエネルギー事業推進室をひそかに立ち上げた。
IT勢にとってエネルギーは商機。DeNAの動きは参入ラッシュの序章にすぎない。テクノロジーを武器にした“ニュータイプ”のプレーヤーが参入の意向を見せており、従来の電力業界を脅かすことになる。電力ビジネスは大戦国時代に突入した。
既存のエネルギー業界にとってニュータイプのプレーヤーは、ライバルになるとともに、手を組むパートナーにもなる。DeNAの動きを目の当たりにしたある大手電力会社関係者は「AI(人工知能)はうちが弱いところ。よそと組まれる前にどこかを取り込まなければ」と焦りを見せる。
2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、電力ビジネスは大きく変わった。16年4月に電力小売り全面自由化がスタート。地域独占という従来のビジネスモデルが崩壊し、異業種が次々と電力小売りに参入した。
当初の主な参入プレーヤーは、電力となじみのあるガスや石油といったエネルギー企業。価格競争が中心だった。
電力小売り全面自由化が4年目に入ると、競争の質は価格から顧客の満足度を高めるサービスに変わった。そのドライバーは、太陽光を中心とした再生可能エネルギーや電気自動車(EV)、蓄電池といった分散型エネルギー。分散型エネルギーを上手に活用するAIやIoT(モノのインターネット)といった最新のテクノロジーが勝負の鍵を握る。