女子高生間で、プチサンボン・ブーム

 同時に、「ライトフレグランス」という言葉も浮かんできました。
  現在はすっかりポピュラーですが、この頃はそういう言い方はなかったのです。

  「ティーン向けのライトフレグランス」
  「学校につけていっても香水だとは思われない、爽やかな石鹸の香り」。

 こんな方向で誌面に取り上げてもらえれば、うまくいくんじゃないだろうか。
  広告費はありませんから、さっそく女性誌に向けてPRキャラバンを開始したところ、美容ライターから「カワイイ!」の連発。期待が高まりました。

  雑誌の商品紹介には、あえて「もともとは赤ちゃん用香水として開発されたもの」ということを前面にプッシュ。女性の母性本能をくすぐるだろうという思いからです。

  すると、女子高生を中心に、プチサンボンが爆発的に売れ始めました。誌面での記事だけでなく、クチコミの力も大きかったみたいです。
  瞬く間に、ちょっとしたプチサンボン・ブームが起きたので、今度は若者向けの男性誌にも記事を出しました。
  「気になるあの子に、プチサンボンをプレゼントしよう!」というノリです。このプチサンボンのギフト化も大当たり。

  こうしてプチサンボンの売上は伸び続け、3年後の1994年には、ついに日本の輸入フレグランスとしてナンバーワンの売上を誇るまでになりました。
  同時に、日本で「ライトフレグランス」という新たなマーケットを作ることができたのです。

ヒットは、体裁のいい企画書からは生まれない

  もし皆さんが、「何としても売らなくてはならない新商品」というミッションを与えられ、ロジカルに考えた当初の戦略や戦術がうまく機能しないと思ったら、思い切ってターゲットや売り方を変えてしまうのも有効な手です。

  とはいえ、当初の計画に逆らうのは勇気のいることですし、上司の猛反対に遭うかもしれません。私のように強行突破できる性格のほうが、特殊なのかもしれません。

   けれど、それでも私は若い人たちに、「新しいことに挑戦してみろ」と言いたい。ヒット商品やヒット企画は、決して体裁のいい企画書やきれいな戦略からは生まれてこないと、経験的に感じているからです。

   戦略も戦術も、最終的には「商品を売る」という目標のためにあるもの。
  「このアイデアのほうが売れる」と思ったら、当初の計画にこだわらず、臨機応変に変えてみようという意志で臨んでください。
  それに何より、誰もやっていないアイデアのほうが、モチベーションが湧いてくるし、面白いじゃないですか! 


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