日銀と金融庁がもたらしかねない「家賃上昇」という生活苦賃貸物件の家賃が、ここにきてなぜ上がり始めているのか。背景には意外な原因が(写真はイメージです) Photo:PIXTA

物価の頭打ち要因だった
家賃が上がり始めた理由

 日銀が金融緩和を始めて、すでに6年以上が経過している。そもそもなぜ金融緩和をしているかというと、デフレ対策である。安倍政権の使命がデフレ脱却であり、アベノミクス3本の矢の「第一の矢」が金融緩和だった。

 日銀総裁に黒田東彦氏を指名し、5年の任期を迎えた後、再任させている。しかしデフレ脱却は道半ばで、インフレ目標の2%に届いていないため、行き過ぎた金融緩和を手仕舞いできずに現在に到っている。ここにきて、そんな日銀に金融庁という援軍が現われた。彼らが同盟を組むと、一般庶民を直撃する大打撃をもたらす可能性がある。

 金融緩和には副作用がある。過去の金融緩和は、1980年代のバブル経済と2000年代のリーマンショック前に、二度に渡って不動産価格の高騰を招いた。いずれも、その後の景気後退のダメージは非常に厳しいものがあった。それをトラウマに感じている人は多く、当時のようなことが二度と起こらないようにしようという思いが、経済を牽引する人たちには共通認識としてあると思う。

 私は金融緩和が始まったタイミングに拙著で「新築マンション価格は2年で25%上がる」と予言し、現実のものとなった。「金融緩和=不動産インフレ」は必ず起こることなのである。今回は金利も相当下がったので、その分価格は大幅に上がったが、現段階で行き過ぎた価格にはなっていない。

 また、資産はインフレしたが、物価はインフレしていない。物価は持ち家のような資産とはほぼ無関係で、消費者物価指数には家賃だけが直接的に関係するのだが、その家賃がずっと下がり続けていたためだ。

 しかし、その家賃が最近上がり始めた。それに最も影響を与えたのは金融庁なのである。