たった3つの言葉で売れる方法を発見した『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』、営業のシーンに合わせた50のフレーズを使うだけで簡単にトップセールスになる『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』。両ロングセラーを超える待望の新刊『3万5000人を指導してわかった質問型営業でトップセールスになる絶対法則』が誕生。本書は「トップセールスの共通点」を見出し、「トップセールスになる絶対法則」を伝えるものです。属人的な内容を「誰でも使える技術」としてまとめました。今回から、お客様とのアプローチ方法を紹介していきます。
時間と場所を指定しても、お客様が足を運ぶ。
ここに優位性がある
お客様との面会で、「時間」と「場所」の確保は重要です。
トップセールスは事前にアポイントをとり、「時間」と「場所」の確保をしっかりとしたうえで面会を行います。
「では、何時にお会いしましょうか?」
「では、お話しできる場所はございますか?」
これらの質問の意図がわかるでしょうか。
セールスパーソンが主導権を握り、提案をしているのです。あくまでも「お願いしない」というのが鉄則です。
なかには、電話でのアポイントの時点で、自社の応接室や会議室などに来社を促し、自社で面会を行うトップセールスもいます。
お客様の会社の会議室に行かずに、自社の会議室に来てもらうメリットは、「来させる」「訪問させる」ことで、優位に立てる点です。
なぜ来てもらえるのでしょうか。それは、お客様がセールスパーソンの話を聞きたいからです。
たとえ来るのを拒まれたとしても、「何か理由があるのですか?」と聞けばいいのです。
そして、「じゃあ、行きましょうか?」と、ここでも主導権を握るのです。あくまでも、こちらからの提案であることが大事なのです。
セールスパーソンの役割は、「お客様のお役に立つこと」です。
自社の商品を売るよりもまず、お客様の現状の欲求や問題を聞き出し、解決策として、最終的に自社の商品を提案することです。
じっくり話し合わないと、問題は顕在化されません。わからないままです。したがって、時間と場所を決め、腰を据えて話をすることが大事。お客様の欲求や問題の絞り込み、解決策について考えるためには、「時間」と「場所」を確保したうえで、面会を行えるようにすることは必然なのです。
少し視点を変えてお話ししましょう。
「話を聞きたい」と言ってくるお客様は、なぜか顧客につながりやすいのです。それは、士業等の仕事の形態を見るとわかります。アドバイスを聞くために、お客様が自ら事務所へ足を運びます。アドバイスに価値があるからです。時間と場所を指定しても、お客様が足を運ぶ、ここに優位性があるのです。
セールスパーソンも、コンサルタントやアドバイザーになる意識で取り組むことで、お客様からの信頼度が大幅に上がります。
私の先生でもある経営コンサルタントの平岡和矩氏に、「場所」の重要性を教えていただきました。平岡先生はタナベ経営出身で、80歳を過ぎた現在も第一線で活躍し、大手企業から中小企業に至るまで多くの企業において、経営のコンサルタントをされています。先生は、こう話していました。
「初めて会う場合、特に経営者には自分が安心して話ができる場所が必要。自社に呼び、安心して、落ち着いて、話ができる空間である個室に招き入れるのです。ここでご自身のことを吐露してもらい、一気に信頼を得る。それから、改革案を提案します。そういう意味において、セールスパーソンも経営コンサルタントと同じようにやるべきなのです」
訪問が主流であった保険業も、最近は来店型で大きく展開していますし、展示会ビジネスが盛況なのも、お客様の「時間」と「場所」の確保がセールスにおいて非常に重要だという観点から見ると納得できます。
これらのビジネススタイルの特徴は、お客様に事前に時間を押さえてもらうことです。窓口を持った保険業であれば、お客様が時間を確保して訪ねなければ、話を聞くことができません。展示会ビジネスも、開催日時が決まっているので、お客様がそれに合わせてスケジュールを組まなければ、話すことができません。
セールスでは、「とりあえず、出かけてこい。少しでも面会してこい」という考えが大勢を占めています。しかし、トップセールスはそのようなことはしません。時間と場所を確保したうえで、お客様に訪問してもらっているのです。
なぜならば、主導権を持つことが大切だからです。お客様からしっかりと欲求、問題を聞き出したうえで適切な提案を行うことが重要であり、そのための条件が「時間」と「場所」なのです。