百貨店の主力である衣料品は粗利率が一年を通じて一定である上、秋冬はクリスマス商戦や初売りで販管費がかさむため、「春夏で赤字を出せば、9月以降の利益の回復は難しい」(アパレル業界関係者)とみられている。

 10日の決算発表では、そごう・西武の通期の営業利益予想について、前期を上回る42億円のまま据え置いているが、足元の状況を見れば厳しいだろう。

セブン加盟店には100億円“支援”も
これで済むかは不明

 一方、主力のSEJは、客足が伸びず既存店売上高が前年を下回るなどしたため、加盟店からのロイヤルティー収入に当たる営業総収入は微増。広告宣伝費など販管費を抑えることで営業利益を確保した。米国でのコンビニ事業は増収増益だった。

 ただ稼ぎ頭のSEJに、来期以降の減益要因が発表された。加盟店の負担を軽減すべきとの世論や政府の意向を意識したのであろう、加盟店が本部に支払うロイヤルティーの一部軽減を含む新たな制度を提示したのだ。

 24時間営業をしていて売り上げが少なく、1ヵ月当たりの粗利益が550万円以下の加盟店は、従来の24時間営業をしている加盟店向けのロイヤルティー料率2%減額などに代えて、ロイヤルティーを月20万円減額するという。対象となるのは全国で7000店程度。適用開始は20年3月からで、本部の負担は通年で100億円増加する見通しだ。

 これを補うため、年内に約1000店の不採算店舗の閉鎖や移転に着手するほか、人員の見直しなど本部コストの削減にも取り組むとしている。

 ただし人件費が高騰し続ける状況を考えれば、今後さらなる加盟店支援が求められる可能性がある。小売業界では異例の高収益を維持してきたセブン&アイ・HDだが、その先行きは決して明るくない。