今一度、歴史から
学び直す必要がある

 今回の台風19号の甚大な被害を受けて、治水の重要性が唱えられている。災害に強い国土づくりということで、埼玉県春日部市にある巨大な地下貯水施設「首都圏外郭放水路」の重要な役割がクローズアップされ、治水機能を強化したダムの配分などの必要性を主張する方も多い。

 一方で、二子玉川氾濫を「人災」と捉える方たちは、自然環境や住環境、景観などから堤防に反対するような住民を敵視するような声も目立っている。

 ただ、日本人の「忘れっぽい」という気質を踏まえると、このあたりの議論も「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、いつの間にやら人々の記憶から消えて「ま、とにかく気をつけようよ」なんて当たり障りのない話に落ち着く可能性が高い。

 前回の首都直下型地震と南海トラフ地震にあたる「安政の江戸地震」「安政の東海・南海地震」から160年以上が経過している。このエリアでは150年周期で巨大地震が起きている、というのは歴史的な事実だ。

 日本土木学会が試算した長期的な被害額は、首都直下型地震で778兆円、南海トラフ地震で1410兆円だ。前回の江戸時代の時のように2つの地震が連続してきたら、人口減少で経済も伸び悩む今の日本は、果たしてこれに持ちこたえることができるのか。

 台風で痛めつけられた被災地を、間髪入れずに次の台風が襲うなんてことがよくあるように、江戸時代の2つの巨大地震の後、ダメ押しのように高波が襲って、江戸は壊滅的な被害を受けた。

 一説には、この自然災害ラッシュによる財政不足が、江戸幕府の致命傷になったとも言われている。令和日本も同じ道を辿る可能性はゼロではない。

 災害対策に力を入れるのは結構な話だが、まずはその前に、「歴史に学ぶ」という危機管理の基本中の基本を、日本人一人ひとりが肝に銘じなくてはいけないのではないか。