本当に必要なコミュニケーションを取らずに、
甘やかし、干渉しすぎる母親たち

  でも、最近は紙オムツですから、「おしっこは大丈夫?」と声をかけるお母さんが、とても少なくなってきたことを実感します。
  このようなところから、親と子のコミュニケーション不全が始まるのです。
  子どもを育てていく過程では、どんな小さなことでも、頻繁にコミュニケーションを取り合うことが大切なのです。

  冒頭の陶器製やガラス製コップの使い方も、コップを落とさずに使う方法を教えることが、子どもとのコミュニケーションにつながるのです。
  このように、子育ての道具立てが変わってきたことによって、子育てに対してずぼらな親が増えてきました。

  また、環境の変化も、子育てに対して無視できない影響を及ぼしています。
  昔は4、5人生んで育てるのがあたりまえ。でも、いまは少子化の時代ですから、1~2人が普通になってきています。
  手をかける子どもの数が少なくなると、どうしても過干渉になりがちです。そのうえ、甘やかせた育て方をしてしまいます。

  本当に必要なコミュニケーションを取らずに、過干渉となって甘やかしてしまう。これでは、まともな大人になどなれるはずがありません。

ここ数年で、男の子の育て方に悩むお母さんからの相談が急増!

  それでも、まだ女の子であれば、母親もわかり合える部分がありますが、これが男の子になると、育て方がどうもよくわからない。
  実際、ここ数年で、男の子の育て方に悩むお母さんからの相談が急増しています。
  育て方がわからないから、つい甘やかせてしまう。
  たとえば、断乳をするべき時期というものがあるのですが、それができない母親のなんと多いことか!
  基本的に、男の子はお母さんが大好きです。
  これは、「性」の違いからくるものが大きいのですが、お母さんとしては、自分のおっぱいにしがみついてくるわが子が、かわいくて仕方がない。
  特に男の子は、女の子に比べて、強い乳房願望がありますから、いつまでもおっぱいを吸い続けようとします。

  そのうえ、最近は夫婦共働き家庭が増えていますから、フルタイムで働いているお母さんもめずらしくありません。
  昼間、仕事でなかなか子どもの相手をすることができないという申し訳ない気持ちから、必要以上に甘やかせてしまいます。
  断乳も、男の子のほうがやめにくいのです。たとえおっぱいの出が悪くても、しがみつき吸いついてくると、なかなかそれをやめさせることができない。
  結局、子どもが乳離れできないのではなく、母親のほうが断乳できないのです。その理由は、「子どもがかわいそうだから」。

  もっと言うと、男の子の断乳時期が遅れるのに、父親の気持ちが反映する例もあります。自分が早いうちに断乳を強いられて寂しい思いをした。だから、自分の子どもにはそのような思いをさせたくない。そういった理由で、自分の妻に「まだ断乳させなくても、いいんじゃないか」とお願いしたりするというのです。

  これでは、いつまで経っても男の子の断乳時期が遅れてしまいます。
  そして、ますます甘えた男の子が増えていきます。
  これは、正直言って日本の危機ではないでしょうか。