男の取り柄とは、新しいものをつくり出すこと

  私は時々、「男の取り柄はなにか」ということを真剣に考えてみるのですが、その答えの一つは、おそらく「新しいものをつくり出す」ことだと思います。
  でも、親の甘やかし方がひどくなると、新しいものをつくり出す能力さえも、奪ってしまう恐れがあります。

  たとえば、さまざまな色のブロックを使って、自由になにかをつくらせるとしましょう。
  子どもは勝手に、自分の感性でなにかを組み立てようとします。
  でも、これは往々にして男の子を持つお母さんに多いのですが、子どもが一所懸命になにかをつくろうとしているのに、そこで黙って見ていられない親が結構いるのです。

「○○ちゃん、ここはこの色を使ったほうがいいわよ」
「ここは、こうしたほうが、カッコいいよね」

  お母さんとしては、子どもの理解力を早めようとして、手助けをしているつもりなのでしょうが、これが本当によくないのです。

親の言いなりは「創造力の欠如」につながる

  想像力のある子は、自分のイメージでいろいろなものをつくり上げます。
  親は、それを黙って見ていればいいのです。
  自分の力でなにかを生み出そうとしているときに、お母さんが口や手を出してしまうと、子どもの想像力や興味、ヤル気は、その時点でしぼんでしまいます。親の言いなりになってしまうことは、「創造力の欠如」につながります。

  新しいものをつくり出すのが取り柄の男の子が、お母さんの過干渉と甘やかしで、その取り柄すら奪われようとしている。これでは大人になって、なんの取り柄もない男ばかりが、世の中にあふれかえってしまいます。

  私が見ている育児教室でも、お母さんがいなければ、いろいろ優秀にできる子どもなのに、お母さんの姿が目に入った途端、なにもしなくなる子どもがいます。

  それもやはり男の子に多いケースですが、やはりお母さんに対する甘えが非常に強いからです。
  最近、とても頭がいいのに、なかなか実社会に出ていけないひきこもりの子どもが増えていますが、まさにそれを想起させます。
  実は、子どもがしかるべき年齢に達したところで、きちっと独立できるようにするためには、3歳までに最初の親離れができるかどうかにかかっているのです。
  そのためには、とにかく子どもを甘やかせないこと。断乳も、その時期がきたらきちっと行うこと。
  そして、子どもがやることに対して、いちいち口や手を出さないこと。
  時には、「お母さんもやりたいから、教えて」と仲間に入れてもらうのもいいでしょう。
  特に、男の子を持つお母さんは、これらの点に留意することが大切です。

  以降の連載は下記のとおりです。お楽しみに!

<第2回>8月1日(水)⇒「イクメン」を自慢しとったらアカン!
<最終回>8月3日(金)⇒男の子に「生き抜く力」をどう身につけさせるか?

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久保田カヨ子(くぼた・かよこ)
1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。 著書に、10万部を突破した『カヨコばあちゃん73の言葉』(ダイヤモンド社)、競氏との共著書に、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)などがある。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房ホームページ】 http://www.umanma.co.jp/