熱狂!ラグビー ビジネス・人脈・W杯第10回Photo by Kuninobu Akutsu

「東大合格と花園の二兎を追う【県立浦和高校】」「英国エリートとラグビーで国際交流【静岡聖光学院高校】」――。ブラック部活が問題視される一方で、文武両道を追求する強豪校も存在する。特集「熱狂!ラグビー ビジネス・人脈・W杯」(全10回)の最終回は、未来の日本ラグビーを支える高校生を直撃。彼らの効率的な時間の使い方は、社会人にも参考になるはずだ。(「週刊ダイヤモンド」2019年8月31日号を基に再編集。肩書や数字などは当時のもの)

【静岡聖光学院高等学校】
電通出身の校長による超短時間練習で花園出場
積極的な国際交流も

 静岡聖光学院高校のラグビー部は花園(全国大会)に5回も出場した強豪だが、特徴は超短時間練習と積極的な国際交流だ。ラグビー部を育て、現在は校長の星野明宏先生は、その指導力が評価されて、2017年には、U18(高校日本代表)の監督にもなっている。

 練習時間は強豪校としては極端に少ない週3回、1回90分。スポーツ推薦はなく、運動能力が特別に優れた生徒が多いわけでもない。

熱狂!ラグビー ビジネス・人脈・W杯第10回・星野明宏校長静岡聖光の星野明宏校長 Photo by K.A.

「制限がある中で成果を出すこつは、電通時代に学びました。好きなだけお金を使って、何をやってもいいという仕事はありません。大事なのは、質と量の制限の中でベストなものができたかです」(星野校長)

 そのため、短い練習時間で、心技体を使い切るようなハードな練習を工夫する。だから、ウオーミングアップから本気。授業終了後、掃除の時間から、練習で何をやるかを考え、練習の90分間は本当に集中する。

「キックオフ直後の調子が悪いチームは、練習で1本目から本気になっていないだけ。スロースターターの練習をしている。並ぶ必要のある練習も排除し、できるだけ動く時間を長く取る」(同)

 これは星野校長の小学生時代とも関係がある。野球をやっていた星野少年は、毎週日曜日に4~5時間の練習をして、クタクタになって帰宅。ところがある日、生意気だった星野少年は気が付いた。

「ノックを受けて返球して、列に並ぶ。アップを除けば、動いているのは15分ぐらい。疲れているのは、野球疲れではなく、立ち疲れだった」(同)

 現在の静岡聖光の練習では、試合に必要なプレーを抽出して強化する。全てに完璧なオールブラックスの高校生版を目指すのではなく、「諦めること」を決めて、自分たちが勝つために必要なスキルに磨きをかける。

 星野校長から監督を引き継いで3年目の佐々木陽平監督も短時間練習を継続。昨年は、サッカー、バスケットボールなど短時間練習で全国上位に進出した強豪校の練習を見学して、練習の組み立てをガラッと変えた。