「日本電産ほど(自動車の駆動用モーターの研究開発や設備投資を)やっている会社はない。世界シェアの70~80%は取れる可能性がある」。24日の決算説明会で、永守会長は終始、いつもにも増してハイテンションだった。

 永守会長はプレゼンテーションで、業績予想の下方修正は、自動車の駆動用モーターの開発費や増産などのための前向きな投資を行うためのものだと何度も強調した。

 追加的な投資判断に至った理由は、駆動用モーターの受注見込数量が3ヵ月間で5倍に増えたからだ。EV向けの駆動用モーターだけでなく、ハイブリッド車(HV)向けモーターまで含め、長期契約における23年の受注見込みが220万台に達したという。

 受注激増の背景は二つある。まず、EV大国を目指す中国市場で、日本電産製の駆動用モーターを積んだEVが実際に走り始めたことで、地場自動車メーカーからの信頼が高まったこと。次に、モーターの納入先が欧州の完成車メーカーやサプライヤーへと広がったことがある。

 旺盛な需要に応えるため、日本電産は生産能力の増強に動く。中国の2カ所にメキシコ、ポーランドを加えた4つの工場を新設・増設することで、生産能力を年間1200万台へと引き上げるという。だが同社は、その野心的な拡張が完了しても、EV市場が順調に拡大すれば供給能力はその2倍でも足りないと見ている。

 また、永守会長は「5000億円から1兆円の投資をしていかないといけない段階にきている。(中略)サラリーマン社長じゃできない(オーナー社長ならではの長期的な視野を持った投資判断だ)」と述べ、駆動用モーターへの集中投資の必要性を主張した。