脂を食べても太らない!

 メタボ健診に引っかかると、内臓脂肪を減らして瘦せるように食事の指導を受けますよね。
 すると、「カロリー制限」&「脂質カット」で、内臓脂肪を減らすように指導されます。

 でも、それでは内臓脂肪は思ったように減りません。
 しかも、続けるのがとても難しいです。

 そもそも、内臓脂肪が増える原因は、脂質(脂・油)ではなく、糖質(ご飯やパンなど)の過剰摂取にあるのです。
 しかも、メタボ健診の指導通りにカロリー制限と脂質カットに励んでも、空腹が辛くて長続きしないのです。

 肥満の原因は、脂質の摂りすぎだと長年信じられてきました。

 その根拠になっているのは、食べてカロリー(エネルギー)になる3大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)を1gあたりのエネルギーで比べると、たんぱく質と糖質は1gあたり「4kcal」なのに、脂質は1gあたり「9kcal」と2倍以上も高カロリーだということです。

 たんぱく質と糖質より2倍以上も高カロリーの脂質をたくさん摂ると太る、という“それっぽい間違った理屈”が長年信じられてきたわけです。

 いまだに脂質を摂ると太ると信じている人は多いです。
 しかし、その理屈は、もうあっさりと覆されているのです!

 日本以上の“肥満大国”であり、肥満による死亡リスク(その多くが過剰な内臓脂肪の蓄積によるもの)が先進諸国で断トツに高いアメリカでは、この“脂質悪玉説”“カロリー神話”にすっかり惑わされてしまい、食事中の脂質を減らす一大キャンペーンを実施しました。

 全米あげての大キャンペーンで、1971年から2000年の30年間で1日の摂取カロリーに占める脂質の割合(エネルギー産生栄養素バランス=以下「カロリー比」)を36.9%から32.8%へと4%以上も削減しました。

 ところが「脂質を減らせば痩せる」という予想に反し、肥満率は14.5%から30.9%へと倍増してしまったのです(いずれも男性の場合、データ出典:『全米健康調査』)。

 脂質を減らしたのに肥満が増えたのは、糖質の摂取量が増えたためです。
 摂取カロリーの総量が変わらないのなら、脂質を減らした分だけ、たんぱく質と糖質を増やすことになります。

 ファストフードなど糖質がたくさん含まれている食べものは、肉や魚などのたんぱく質が豊富な食べものに比べて安価(安上がり)です。
 そのため多くのアメリカ人は、脂質を減らした分、安上がりな糖質の摂取が増えてしまったのです。
 そうした“糖質過多”の食生活で、内臓脂肪は減るどころか、逆に増えてしまったのです。

 1971年にはアメリカ人男性の糖質の摂取量はカロリー比で42.4%でしたが、2000年には49.0%と6%以上も増加。これが肥満の倍増につながったのです!