――どういった問題でしょうか。

 組織におけるセクショナリズムの問題です。部門間での連携が十分でなく、ブランド全体に良い結果がもたらせない。つまり、商品、事業、国などで仕切られた個別の組織ごとのブランド構築が優先されてしまい、全体的なコントロールを失ってしまうのです。この問題に関しては、日本の状況は他国に比べて悪いといえます。

 たとえば、ソニーではかつて、PCのバイオを担当していた部門とウォークマンを担当していた部門がそれぞれ、ポータブル音楽プレーヤーを手がけたことがありました。結果は、ともに失敗。その後、技術的にもさらに優れたアップルのiPodが市場を席巻したのです。

 ソニーがこの頃、グローバル市場におけるイノベーションのリーダーシップを取れていなかった大きな要因の一つが、このサイロ化にあったと思います。

プリウスがハイブリッド市場で
ホンダ、フォードに勝ち続けた理由

――サイロ化以外に、企業が取り組むべき課題はありますか。

 現在、あらゆる企業が「デジタル世界にどう対応していくのか」という課題に直面しています。

 デジタル時代のブランド・マネジメントにおいて重要なことは、古典的ですが、まずはそのブランドの立場を明確にすること。そのためには、「高次の目標」が必要です。

――「高次の目標」ですか。

 GoogleやAmazonは、あらゆる人にとって重要な、毎日の生活に欠かせない存在になっています。つまり、彼らの顧客との関係性は、とてもパワフルな「機能的な利益」のもとに成り立っている。しかし、世の中の8割の製品は、機能的な利益のみでは成立しえないといわれています。

 多くの企業においては、利益や収益よりももっと高い次元にある目的意識が必要なのです。それが高次の目標であり、顧客や従業員にとって、「なぜその商品を買う(売る)のか」という理由になりうるものです。

 高次の目標を持つことはブランド・マネジメント、そして企業にとって重要なことです。しかし一方で、適切な目標を見いだし、目標を体現するような製品・サービスを提供し、それにより評価されることは大変難しいことでもあります。