「銀行はすごい」
今も思い出す山一マンの述懐

 銀行と証券との対比で思い出すのは、山一證券がつぶれた(自主廃業した)後に銀行に再就職したある山一マンの述懐だ。山一が廃業した1997年は、ちょうど「日本版金融ビッグバン」と呼ばれた金融業の大規模な規制緩和が行われていたタイミング。銀行の投信窓販(投資信託窓口販売)が翌98年に始まったこともあって、失業した山一マンが多数銀行に就職した。その中の一人が筆者に、「銀行はすごいですよ。手付かずで、痛んでいない預かり(資産)が山のようにあって、しかもカネの動きが見えるんだから」と言っていた。

 かつて、証券マンから見て銀行にはうらやましい点が二つあった。一つは、確定した利回りをうたって売ることができる定期預金などの商品があること。もう一つは顧客のお金が見えていることだった。

 前者については、予想分配率を言うことができる中期国債ファンドのような商品が開発され、後には、毎月分配型ファンドが売られるようになり、これは後に銀行の投信窓販にとって大きな収益源になった。

 しかし、銀行のように顧客のお金の「本体」が見えて、その流れも分かるという立場に、証券会社は今日も立てていない。

 銀行との業務提携に際して、証券会社の側からは、銀行の預かり資産が光輝いて見えているはずだ。