「うん間違いないっ!」「午後の食パン これ半端ないって!」…これらはただのセリフではなく、高級食パンを販売するベーカリーの店名だ。実は近年、個性的な看板を掲げる高級食パン専門店が全国各地にオープンし、連日長蛇の列をなしているという。(清談社 真島加代)
近年、マーケットを
確立した高級食パン市場
銀座の「セントル・ザ・ベーカリー」や大阪に拠点を持つ「乃が美」のように高価格帯の“高級食パン”のニーズは、年々高まっている。ジャパンベーカリーマーケティングでベーカリープロデューサーを務める岸本拓也氏は、パン市場のトレンドをこう語る。
「近年は、高級食パン専門店や、やわらかいコッペパン専門店など、日本人になじみのある種類のパンに人気が集中しています。ただ、昔のようなパサついた食感ではなく、口どけがよくやわらかい生地になっているのが特徴ですね」
近年のパン人気を支えているのは“定番パンとしての親しみやすさ”と、“進化した新食感パン”というギャップだという。
「特に食パンはマーケットが大きいので専門店を出してもビジネスが成立します。いろいろなパンを売るベーカリーでも、もっとも売れるのは食パンなんです。毎日食べる人もいるほど、食パンの専門店はお客さんの食いつきもいい。さらに、高級食パンの場合は、日常を彩るささやかなぜいたくとしての需要もありますね」
岸本氏は「高級食パン専門店はブームの域を超え、市場を確立しつつある」と分析する。実は、かくいう岸本氏こそが全国各地にオープンしている、奇抜な店名の高級食パン専門店の仕掛け人だ。