岸見 それこそが子どもと「人間として関わる」ということですね。体が小さくても関係ないですからね。
『嫌われる勇気』の中では「課題の分離」ということを扱っていて、「親の課題」と「子どもの課題」を分けて、「子どもの課題」には立ち入らないようにすることを説いています。
私は自分の子どもたちに向かって「勉強しろ」と言ったことは一度もありません。勉強は子どもの課題ですから。子どもの勉強に親が口出ししなければ、子育ては楽になりますね。

ブレイディ そうなんですよね。そうそう。
岸見 息子がよく言っていたのは、「親に言われて勉強するようじゃだめだよね」ということ(笑)。かわいくない発言ですが、それは確かにそうだなと思います。
私には娘もいるんですが、息子にも娘にも「勉強しろ」と一度も言ったことがありません。それで、息子は自分の判断で勉強するようになりました。一方、娘はあまり勉強が好きなようには見えませんでした。でも、それは娘が決めることですから。
ブレイディ それはそれでいいですよね。うちの子どもも岸見さんの息子さんのように何も言わなくても勉強するんですよ。だからよく聞かれるんです。「どうしたらそんな子に育つんですか?」って。でも、何にもしてないんですよね(笑)。なんでそうなったのか私にもよく分からない。
英国の学校は今そういうところが増えているんですが、息子の中学では、子どもの宿題を親がオンラインで確認できるようになっているんです。どんな宿題を出されたのか、授業中にどんなことで怒られたか、サボったかどうかといったことを見ることができます。
監視社会みたいで怖いから私はあまり見ないようにしていて、どんな宿題が出ているか全然知らないんですが、子どもは自分でやっているんですよね。なぜそういう子になったのか分からない。