単に長生きを目指すのではなく、
どう生きるかを選択する時代

――今、日本人の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳になりました。男性も女性も更年期と言われる年代は、まだまだ人生の中盤です。

熊本 神様は、だいたい50年ぐらいで人生を終えるように人類をデザインしたと思うんです。だから更年期がある。60歳を過ぎてからどう元気に過ごすか、そこは神様は想定していなかった。

ところが医学が進歩して、人類は神様のデザインを壊してしまった。人生の後半戦をどう元気に生きていくか、単に長生きするだけじゃなくて、幸せ長寿をどう実現するか。人類の寿命を延ばした近代医学は、そこまでフォローする責任があります。ホルモン補充療法は、今の長寿社会でみんなが幸せに長生きするために必要な治療法であり、医学の責任だと思っています。

村崎 今までの医学は、とにかく「長生き」を目標にしてきました。それはもう十分に達成しましたよね。私は、みんながみんな100歳を目指すなら、どんな老後を選ぶのか。1年でも長く生きることを優先するのか、元気でアクティブに生活することを優先するのか。今はそれを選ばなければならなくなってきました。

ホルモン補充療法は、元気で生活したい人の重要な選択肢の1つになってきたのです。

――これからの長寿社会で日本の高齢者が幸せに生きるために、おふたりの役割もホルモン補充療法の役割も、ますます重要になっていきそうですね。

熊本 ようやく理解が広がってきましたが、まだまだですね。私は札幌に住んでいますが、札幌まで新幹線が通る頃には、世の中の常識が変わってくれたらいいなと願っています。予定ではあと12年後。私は100歳を超えますが、ぜひ見届けたいですね。

村崎 私は不具合や、元気のなさを訴える患者さまを、どのような手法で具合良く、元気を取り戻していただけるかを考え、それを続けていきます。そのためには、自分が元気でいなくてはならない。熊本先生のテストステロンの理論を、私は女性の立場から「元気ホルモン」としてとらえていく思考を育てていきたいと考えています。

――ホルモンパワーで、いつまでもご活躍ください。ありがとうございました。