「まいてら賞」は石川県加賀市の恩栄寺に
仏教系ネット媒体「まいてら」提供の「まいてら賞」は、石川県加賀市にある恩栄寺の掲示板「ボーッと生きてもいいんだよ」に決まりました。講評は以下のとおりです。
変化の速い時代だからこそ、お寺にはこんな言葉をかけてもらいたいと、みんな思っているのではないでしょうか。思わず、お寺の縁側に座って、ボーっとしてみたくなる言葉でした。
この掲示板は連載第57回でご紹介しましたところ、ツイッターやフェイスブックなどで実に多くのリツイートやいいね!をいただきました。ちなみに第43回の連載では本家であるチコちゃんの「ボーっと生きてんじゃねーよ!!」の掲示板もご紹介していますが、この「ボーッと生きてもいいんだよ」という言葉の方が反響は大きかったようです。
講評にあるように、多くの人々がこのような言葉をかけてもらいたいと思っているのでしょう。この掲示板の言葉だけでなく、自分自身をそのまま受け入れてくださる阿弥陀仏の救いの話にも耳を傾けていただければと思います。
「彼岸寺賞」は東京・葛飾亀有の蓮光寺に
インターネットに存在するお寺「彼岸寺」による「彼岸寺賞」は、東京・葛飾区亀有にある蓮光寺の掲示板「ほんとうのいちばん深い闇はわかっているという思いです」に決まりました。
ドキリ。この言葉に出合ってそう感じた人も少なくないのではないでしょうか。「無明」と呼ばれる私の中に渦巻く心の闇が実に端的に表現されています。自分の在り方をパッと振り返らせる。これぞお寺の掲示板の「妙」ですね。
この講評のように、何でも「わかっている」という勘違いは人間の一種の迷い(煩悩)といえます。仏教では煩悩の根本である迷いを「無明(むみょう)」と表現しますが、その「無明」の闇は仏様の智慧の光に照らされることによってくっきりと明らかになります。
ですから、仏様の教え(智慧の光)に触れることによって、自分がどのような迷い(無明の闇)を現在抱えているかを常にしっかりと自覚することが大切だと言えるでしょう。
「フリースタイルな僧侶たち賞」は東京・文京区の願行寺に
フリースタイルな僧侶たちの、読みどころたっぷりのネット連載とフリーペーパーで活動しているみなさんが選んだ「フリースタイルな僧侶たち賞」は、東京・文京区の東大本郷キャンパスにも近い浄土宗願行寺の掲示板「人の道は心にあり 心は行ないにあり」となりました。
『四十二章経』の中に以下の言葉があります。
道を修める者は、その一歩一歩を慎まなければならない。志がどんなに高くても、それは一歩一歩到達されなければならない。道は、その日その日の生活の中にあることを忘れてはならない。
日常の生活の中の1つ1つのささいな行ないが「道」です。誰も見ていない場所でのちょっとした振る舞い1つにしても、慎みの気持ちをもちたいものですね。
次回は2019年の連載最終回、残りの受賞作をご紹介いたします。
「輝け!お寺の掲示板大賞2019」たくさんのご応募ありがとうございます。第2回の受賞作品が決まりました。
なお、当連載をまとめた書籍『お寺の掲示板』が9月26日に発売され、さっそく増刷となりました。お手に取ってご覧いただければ幸いです。
(解説/浄土真宗本願寺派僧侶 江田智昭)