兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。執行役員として事業開発を経験し、現在同社の最高戦略責任者、子会社の代表取締役を兼務。テレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。
2019年5月から、840万件の社員・元社員のクチコミを見られるサイト「オープンワーク」のマーケティング戦略のサポートも担当している。最新刊は『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』(ダイヤモンド社)。
【著者からのメッセージ】
「人間の弱さを前提にした強い組織」を作る
こんにちは。北野唯我と申します。今回、3冊目の著書『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』 を出版しました。
北野唯我 著
定価:本体1,500円+税
発行年月: 2019年11月
判型/造本:46並製
頁数:256
ISBN:978-4-478-10881-9
私は処女作『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』で、「転職を悪」と考える日本の風潮に対して問題を提起しました。おかげさまで現在16万部を突破し、多くの方から「転職に対しての考え方が変わった」という声をいただきました。
私が今回の本でテーマに選んだのは「組織」。その中でも、「職場のオープンさ」にフォーカスをあてて書いています。
この重要性を痛感したのは、ある女性のひとことでした。
彼女は大きな企業から転職したばかりだったのですが、本書の原稿を読んで、こう言いました。「この本は本当にいい本ですね。だって、明らかに日本の企業が停滞している理由の1つは、『本音が語れない職場』にあると思いますから」としみじみと語っていました。僕はそのときに「そうだよなぁ……。だってオープンさがない職場って息が詰まっちゃうもんな」と、著者ながら痛感しました。
振り返ってみると、そうです。ものごとは「空気」によって支配されることがある。
「ウチの会社は、ここを変えた方が業績が上がるのではないか」
「自分の仕事はこうした方がうまくいくのではないか」
たとえば、私たちがそう思っていても、職場では、なかなか言いづらい。個人がいくら違和感を感じていても、日本企業においては職場の「空気」に負けてしまう。むしろ、本音を言えば言うほど、「変わった人」「組織に抗う人」として潰されてしまう。そうした現状を、私自身もたくさん見てきました。本書はそんな現状への怒りから生まれています。
もっと、日本の職場をオープンで、働きやすいものにしたい。
そう思って生まれたのが、この本です。しかし、問題は、別にありました。というのも、これまで「職場の空気」と業績との関係は科学されてこなかったからです。たとえば、皆、なんとなく「社員の士気が高い会社は売上も株価も上がりそう」とは思っていたものの、「空気」は定量的に可視化されていなかった。こうした現状に、ビシッと答えを示したのが、今回の本です。
のべ840万人の内部口コミデータから、企業の長期的な業績と、オープネス(開放性、風通しの良さ)には、相関関係があることが証明されました。
ただ、いくら、データで証明された正しい答えであっても、閉塞感のある職場を一人の努力で変えるのは、とても大変なことです。なぜなら、本書のテーマでもある「オープネス」は、人の心の弱さと直結しているからです。
人は皆、弱い。上下関係を気にせず誰とでも率直に話せて、自分の失敗や間違いも気軽にさらすことができる。生まれつきそこまでオープンな人は、ごく一部です。みんな、やっぱり自分をさらけ出すのは怖いものです。
そして大事なのは、経営者も、実は同じだということです。私自身、経営・マネジメントの仕事をしてはいますが、自分のチームメンバーに本音を話せるようになったのは、30歳を過ぎてから。それまでは、「もっと自分を良く見せよう」「人望のある人になりたい」と無理していたところがおおいにありました。では、どうすればいいか? それは、「人間の弱さを前提にした強い組織」を作ることだと思います。
理論として正しくても、実際に使えないと意味がない。
本を書くとき、私が一番大切にしていることは「リアリティがあること」です。そこで、本書では、データでオープネスの正体に迫ることはもちろん、そこからオープネスをどう使うのか、オープネスにはどんな邪魔が入るのかなど、なるべくリアルな職場の状況を前提にした私自身の独自理論を盛り込んでいます。すでに本書を読んだ方からは、次のような声を頂きました。
「見たことがない本だ」
「最近、よくある浅いビジネス書とは違う深みがある本だ」と。
もしあなたが、「ウチの会社、何かがおかしい?」その思いを一度でも抱いたことがあるなら……。ぜひ読んでいただきたい1冊です。この本を通じて、少しでもモヤモヤが吹っきれたとしたら、これ以上に幸せなことはありません。