スバルも出資者であり「対等」な関係
技術者は「トヨタとケンカしていい」

 先日、トヨタと電気自動車(EV)を共同開発している現場に行って、スバルからの出向者たちに株式の持ち合いの趣旨を説明しました。エンジニアたちは皆、「じゃあ遠慮せずに明日からガンガン言ってやる」とますますやる気を出していましたよ。

 私は「遠慮せず(トヨタと)ケンカしていい。でも仲良くケンカしてね」と言っています(笑)。

 手前味噌になりますが、トヨタには、スバルの技術を認めてもらっています。例えば、スバル独自の4輪駆動システムの知見によってトヨタ車の4輪駆動が良くなります。でも、それも一方通行ではなくて、トヨタの技術が改善するプロセスを知ることで、スバルの4輪駆動もさらにレベルアップしようとしています。

――トヨタとの協力関係を深化させるのに、既存の資本関係(持ち分比率16.83%)では足りなかったのですか。

 持ち合いはスバルにとって(パワートレイン関連の知的財産や部品などの)調達コストの削減にもなります。

 例えば、ハイブリッド車(HV)の次世代駆動システムはトヨタの技術を一部活用します。これまでのトヨタとの希薄な関係性では、トヨタに対して(駆動システムの)知的財産に比較的高額のフィーを支払わなければなりませんでした。しかし、持ち合いをすることで関係性が強化されると、その“技術提供料”をディスカウントしてもらえるようになります。

 その他、部品の調達でも、両社のボリュームを生かして適正な価格を実現したい。(材料やメーカーが限られ)難しいバッテリーの確保でも、トヨタとの協力は不可欠です。

 結果的に、知財や部品の調達コストが安く抑えられコストメリットを得られると考えています。

――CASEの波が押し寄せています。電動化やEVなどの技術でトヨタへの依存が進むと、独立を保つのが難しくなるのではありませんか。