(スバルらしさを保つために)技術力が重要と考えています。

 トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)を活用するといっても、簡単ではないのです。スバルの水平対向エンジン(一般的なエンジンのピストンは上下に動く。これに対し、水平対向エンジンはピストンが水平に動くため、車が低重心になり、縦の振動が少なくなる)に適合させるのはものすごい大変で、その難しさはフルで自社開発するのと同レベルといっても過言ではありません。

 北米市場に投入したプラグインハイブリッド車(PHEV)の駆動システムの開発で、トヨタの電動化技術の適用をやってのけたことも、トヨタに技術力を認められることにつながったと自負しています。

――スバルらしさの象徴である水平対向エンジンを搭載しないEVでは、他社との差別化ができないのでは。どうスバルらしさを出しますか。

 スバルがつくれば、スバルらしくなります。一言でいえばそうです。EVにおいて具体的にどこで差別化するのかは簡単には言えません。まさに、それを考え抜くのが私たちの仕事です。

 トヨタとのEVの共同開発では、四駆のSUVの開発をスバルが担当していますが、内燃エンジンなど、メカによる駆動より、EVのモーターによる駆動のほうが、トルクの出し方が自由なので、スバルらしさを出せるのではと考えています。

 スバルらしさは、水平対向エンジンの走りだけではなくて、視界の良さや取り回しの良さ、安全思想などもある。総合的にスバルらしさを追求していきます。

――デンソーやアイシン精機などトヨタグループの開発の枠組みに参加することが増えています。非トヨタグループのサプライヤーとの関係が希薄化し、多様性が失われるのではないですか。

 そんなことはありません。現状、デンソーとも欧州系のメガサプライヤーとも取引をしていますし、関係を変えようとは考えていません。

(部品の基本骨格を共通化する「コモンアーキテクチャー」を採用したりして)トヨタと共通の部品を使うようになれば(非トヨタグループのサプライヤーとの)取引額は減るかもしれませんが、現状、サプライヤーとの関係を変えようとは考えていません。