各事業のフェーズを切り分けて考える

村上:事業の複雑性が高い時にもう一つ大事なのは、エクセルのひとり歩きを避けることです。例えば投資家との対話では、冒頭で「既存事業は予算を達成する確率が高いために手元資金に余裕があり、新規事業に関してはマーケティング戦略も投資戦略も柔軟性がある」といった一工夫を加えるようなことですね。それが無いと、投資家も数値を見ただけでは理解しづらくなってしまいます。

小林:確かにそうですね。まず、それぞれの事業がどのフェーズにあって、どの粒度で語るべきなのかを把握することが必要なんでしょうね。

村上:そこがしっかりできていないと、本当は非常にチャンスがある事業や計画を話さないといったケースが生じてしまいます。「本当はすごく面白いと思っている新規プロダクトがあるけど、理解してもらいにくいので、今回の説明資料には入れていません」といったような状況です。
こうした面白い可能性について伝えそびれてしまうのはもったいない。

小林:まだふわっとしていて、突っ込まれたら答えられないから資料に含めないといったケースですね。

村上:答えづらいからといって、可能性を感じていて、本当は注力したいと思っている事業について説明しないというのも、非常にもったいない話です。

小林:そういう意味では、フェーズ感も含めて、関係者に事業がどの粒度感かをきちんと伝えることが大切ですね。

*本記事はVoicyの放送を加筆修正し(ライター:代麻理子 編集:正田彩佳)、signifiant style 2019/7/26に掲載した内容です。