だが、それにも増して危機的状況なのは、グループの基幹銀行である三菱UFJ銀行だ。同行の業務純益は16年3月期に1兆907億円あったものの、19年3月期には3884億円と半分以下に激減。17年3月期には規模で劣後する三井住友銀行に抜かれ、3メガバンク中2位に転落し、しかもその差は拡大を続けている。
MUFG全体としては、米国やアジアなどの海外事業、出資・提携先の米金融大手のモルガン・スタンレー、信託銀行などの収益で落ち込み幅を打ち返しはしているものの、国内の低金利環境の直撃を受ける銀行単体の収益は競争力の優劣が如実に現れる。「もはやMUFGは国内で闘うつもりはないのではないか」とライバル銀行首脳からは評される始末だ。
もっとも国内がそんな体たらくだからといって、必ずしも海外部門が順調なわけでもない。
稼ぎ頭の米国事業は、粗利益は伸びているものの規制対応コストや預金の調達コストがかさみ、利益の伸び悩みに直面している。
一方のアジアでは昨年12月、子会社化したインドネシアの地場商業銀行の株価低迷で2074億円の減損損失の計上を発表したばかりだ。