アナログコミュニケーション時代に
自然と身についていた力
メールがない時代は、お客様との連絡は電話が主流でした。聞き取りやすい声で、礼儀正しく、簡潔にこちらの意図を伝えることができなければ、ガチャンと電話を切られてしまうなんてこともありました。
また上司宛てにかかってきた電話であれば、伝言の有無を確認し、場合に応じて正しくメモを残す必要があります。うまくできていなければ、戻ってきた上司に叱られたものです。
もちろん電話以外でも同じです。パソコンが普及する前は、どんな資料も報告書も手書きが当たり前でした。だから誤字があればその場で気が付いたし、一字入魂で、手紙も報告書も真剣に書いたものです。
手を動かし時間をかけるからこそ、否が応でも相手のことを考える時間を持つことができ、書きあがったものへの愛着も生まれました。
以前であれば、わざわざ意識をしなくても日常の行動の中でこうした力は自然と身に付いていました。むしろそれが“当たり前”でした。
ところが、今はパソコンとスマートフォンがあればなんでもパパッとできてしまいます。デジタル機器はとても便利なのですが、だからこそあえて意識をしなければ、相手への思いやりや配慮を形に表す術を失ってしまうのです。
よく読みもせずコピペで済ませただけだから、内容も覚えていない。一度送信してしまえば記録が残るからと、正しく伝わっているか確認もしない。
スマートフォンやパソコンで入力してばかりだから、お客様のお名前を正しく書くことができない。そんなことが頻繁に起こっています。
アナログ力を
生かせる人と生かせない人の違い
だからといって「積極的にアナログツールに戻していきましょう」なんてことを言うつもりは全くありません。むしろ私はデジタルツールの使用は歓迎しています。
大切なのは、デジタルに囲まれた中で、いかにそれらを活用しながらアナログ力を発揮できるかという点です。