新型コロナウイルス予防
中国広州市でマスクをつけて新型コロナウイルス予防をする人々 Photo:Anadolu Agency/gettyimages

中国内陸部の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者が増加し続けています。中国の保健当局によると、1月28日の時点で感染者は4515人確認され、死者は106人に。感染は武漢市から中国全土に広がっており、タイ、日本、韓国、香港、マカオ、台湾、アメリカでも感染者が確認されています。26日には日本国内で4例目、28日には新たに2例の感染者が確認され、不安が高まっていますが、現時点でパンデミック(世界的大流行)が起こる可能性はあるのでしょうか? そして、今からでもすぐにできる対策はあるのでしょうか? 感染症の専門家で国立病院機構三重病院臨床研究部長の谷口清州医師に聞きました。

パンデミックの可能性は?

谷口清洲
谷口 清州 (たにぐち きよす)
国立病院機構三重病院 臨床研究部長。国立感染症研究所客員研究員。専門は小児感染症学、感染症疫学で、2003年にはSARSコロナウイルスの世界流行の対策を経験。三重大学医学部小児科学教室、ガーナ国野口記念医学研究所、国立三重病院小児科、国立感染症研究所感染症情報センター、WHO感染症対策部などを経て2013年より現職。病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介する「Open Doctors」の協力医師も務めている。

 新型コロナウイルスによる肺炎が今後、パンデミックに進展するかどうかは、「持続的・効率的なヒトからヒトへの感染が起こるかどうか」によります。また、これには、軽症例・無症候性(症状が出ない)感染例の頻度とその感染性が大きくかかわってきます。

 感染者のほとんどが重症例で入院が必要であれば、隔離治療することによって感染伝播を止めることができます。しかし、軽症例が多数いて、感染性を持っていれば、これらの感染者が地域で感染伝播を起こしますので、地域で感染が広がるリスクがあります。

 現時点では、中国国内で夫婦間での感染や1人の患者から15人の医療従事者への感染が確認されています。これは「ヒト‐ヒト感染」が起こっている可能性を強く示唆していますが、いずれも患者に濃厚接触した者が発症しているのみであり、現状では「持続的・効率的なヒトからヒトへの感染が起こっている」と言える証拠はありません。

 なお、濃厚接触とは、2メートル程度の近接距離で会話するなどの対面接触や家族内接触、医療従事者が適切な防護なしで患者の治療にあたることなどを指します。